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IoT装置ができるまでハードウェア編

IoT装置を新規に作りたいとなると何が必要か考察します。IoTを構成する要件を満たすには最低限次のハードウェア要素が必要となります。

1.     電源
2.     通信エリア(通信装置)
3.     何らかのセンサ
4.     制御MCU
を順にみていきます。

当たり前ですが結構頭を悩ますのが電源です。電源が無いと装置は動作しないので最初に検討します。電池で動作するのかAC電源があるのか、ソーラパネルで頑張るのか。そして消費電力を左右するのがデータをクラウドに送信する頻度です。毎秒欲しいならAC電源が必須ですし、1日一回ならバッテリかソーラパネル、一週間に一度ならバッテリといった具合です。バッテリはモバイルバッテリと同じ単位で10,000mAは最低欲しくなります。
ソーラパネルは屋外なら良さそうですが、森の中や日陰になりやすい場所では思ったほど発電しないので注意が必要です。特に雪の降る寒冷地では雪が積もって発電しなくなってしまいます。風力発電は雪に比較的強いですが、物理的な設置が大変になるので簡単にいきません。しっかりしたものを設置するのであれば電力会社に依頼する事です。手続きさえすれば何とかなる事があります。装置を設置する地元の電気工事会社に相談すると良いでしょう。単相2線式で100Vを引いてブレーカーとコンセントを設置してもらうだけなら数万円からできるはずですが、現場の状況と引き込み用のポールとか分電用の箱とかは別途かかります。イメージとしては電灯新設する感じになります。

通信エリアによって採用する通信方式は勿論、携帯網だとしてもキャリアのエリア次第でどこを選択するか決めることになります。人口カバー率99%だとしてもIoTを最初に置きたくなるところは人が行かないような辺ぴな場所なので人は済んでいない場所の可能性が高くなります。カバー率より現地に足を運んで度の電波が届くのか調査が必要です。LTE-Mは概ねLTEエリアと一致しますので携帯電話でもおおよそ確認できます。LPWAは測定機器をもっていかないとわからないので各LPWA会社に問い合わせてみることになります。LPWAでお勧めなのが京セラコミュニケーションのSigfoxかSony関連のNURO MobileのELTRESかの選択になります。通信頻度を高くしたければLTE-Mですし、LPWAは電波法の都合で通信頻度は抑えられているので注意が必要です。

センサは事象検知の基本になります。傾きや振動を知りたければ傾斜センサ(加速度センサでも代用できます)、気象を知りたければ気温、湿度、気圧の各センサが必要です。さらに動作電圧が5V以下で消費電力が少ないものを選択します。海外で標準的な試作用として評価用に使うのが MikeroBUSの物か、ArduinoのSensor KitをつかいますがMikeroBUSに比べてセンサの質が落ちることがあるので注意が必要です。ここではMikeroBUSを見ていきます。ホームページ(https://www.mikroe.com/)でPRODUCTS->Click Boards -> Sensors ->Gas ->Air quality 9 Click をクリックしみてください。名の通り9種類の空気の質をセンシングするボードが出てきます。MCUとの接続はI2CインターフェスなのでMikeroBUS以外の物にも接続できます。コロナで注目を浴びたCO2濃度も読み取れます。CO2は元々空気中に0.041%(体積比)しかありません。つまり410ppmが標準になります。これが100倍の40,000ppmになると人体に悪影響が出ます。さらに200倍になると意識を失い死に至ります。人が密になり密閉された空間では3倍以上になりますが気になるほどではありませんが、ただコロナが近くにあると感染する危険があります。2倍程度の場所が良いようです。ここでのポイントはセンサで使用しているデバイスが何かです。ガスセンサーではENS160が載っていました。この型番わかれば、このボードを使わなくても他のボードを探したり専用の基板を作成したりする事ができるようになります。

最後にセンシングしたデータをクラウドに上げるためのソフトウェアを動作させるMCUを選択します。電源環境にもよりますが8bitから32bitまで豊富です。考えられる機能を全部込みのAzure Aphereから8BitのArduinoまで豊富です。また、コンピュータ教育の先進国で生まれたRaspberry Piも電源確保さえできれれば機能と価格面からも優位です。Raspberry Piはウェールズにあるソニーの工場で生産されているのでなんとなく安心です。しかし消費電力を考えたら8Bit系は魅力です。ArduinoかMikeroBUSの乗ったボードを探します。LPWA(ELTRES ,Sigfox)は通信モジュールかボードで提供されているのでその中から選択になります。

選択したものを纏めて試験をするのですが、まず要件を満たすかブレッドボード上で試します。ブレッドボードはパンをこねる板のようにハードウェアを試作するためにいろいろとこねくり回す意味で使われるものです。まず、センシングからクラウドまでの疎通試験、センサの値の評価、消費電力もろもろ確認して大丈夫だと確認できれば基板の作成になります。基板を作れば次は収納するケース。この辺りから費用が飛躍的に上がってきます。試作で10台ほど試したら量産先行で200台は最低試します。そして最低ロット3,000をどう使うか考えることになります。専用ケースを作るなら金型が必要です。これを製品に転嫁して手頃な価格にするには10,000個は目指すことになります。

 IoTがPOCからなかなか抜け出せない理由はハードウェアにあるかもしれません。手軽とはいいがたい先行投資が必要なるので対費用効果が明確でないと進めないのは仕方がありませんが経営と営業、開発が一体になったベンチャー企業なら乗り越えられるかもしれません。ぜひ頑張って欲しいものです。

NIMIKRO社(セルビア共和国)



Arduino(イタリア共和国)

Raspberry Pi(北アイルランド連合王国:イギリス)

Azure Sphere(アメリカ マイクロソフト)

ELTRES NURO Mobile

Sigfox 京セラコミュニケーションシステム

ブレッドボード


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