#6.相手はどこで引っ掛かるか
前回は、「①日本語が分からない(言葉・文章)」に陥らないために、「聞き手の持っている情報のレベルに合わせて説明する」というポイントを確認しました。今回はその続きです。
題材は、前回紹介した「国民健康保険課のお仕事の内容紹介」(高校生向け)の前半です。
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【第1パラグラフ】
「皆さん、病院にかかったとき、たとえば3,000円とか、お金を払うやんな? あれって、本当は10,000円かかるけど、3,000円で済んでんねんな。 知ってた? じゃあ7,000円はどこから来てるかって思うやんな? それは、基本的には働いている人は稼いだお金からちょっとずつ“保険料”を払ってて、それをかき集めて病院にかかった人の分、さっきの例で言うと7,000円を病院に支払うようにしてんねん。 これが保険という仕組みやねんな。」
【第2パラグラフ】
「で、皆さんのお父さんやお母さんは会社員? 会社員やったら、実は国民健康保険は関係してけーへんねん。 会社員の場合は、国民健康保険とは別の保険制度に入るからやねん。 公務員も別の制度。 じゃあ、国民健康保険制度の対象になる人ってどんな人かって言ったら、例えば自営業の人。 他には60歳で退職して年金生活の人とか。 と言っても75歳未満なんやけど。 要は、国民健康保険制度っていうのは、会社員とか公務員とその家族以外の人を対象にした保険制度で、私の仕事はその制度を運営するってことやねん。 ここまでいい?」
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この太字部分に注目しましょう。ここでは、相手が疑問に思いそうなことを先回りして提示しています。そしてスグにその疑問に対する答えを明らかにしています。この話の展開は「聞き手の持っている情報のレベルに合わせて説明する」の一つの例と言えるでしょう。
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