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動物たちからの恵みをいただき続けるために

先日、NHKで、シカなどの獣害に困っている地域で起業した若者たち(Re-Social)の取り組みがニュースになっていました。有害(人間生活に被害を及ぼす)駆除されるシカの活用をビジネスにつなげるという話はよくあるのですが、シカの皮をキャンプで使う椅子に活用するということ、そしてそこに地域の「建具屋」に協力を依頼していること、その活用先として地元のキャンプ場との連携を考えているあたりが素敵だなと思って色々と調べさせていただきました。

地元の方々の技術を発掘しながら、協力者をみつけて巻き込んでいく、これは、移住した若い世代にこそ可能な「技」だと思っています。資金面に課題があったり、地縁がなかったりするけれども、「夢」や「想い」はある。そのエネルギーに影響されて、秘められていたさまざまな地域の技術が開花する。地域に長く住んでいると、「あの人には頼みにくい」とか、「こんなこと頼むなんて失礼」といったしがらみが出てきて、どんどん型にハマったやり方になっていくように思います。

一方、話は海外に飛び、ブラジルでは、「カーボン・ニュートラル・ビーフ」という畜産のスタイルが始まっているようです。畜産というと普通は草原に放し飼いと屋内施設を組み合わせたイメージがあります。近年、牛や豚など畜産業を通して排出されるメタンガスが温室効果ガスとして気候変動に影響しているというニュースが取り上げられるようになりました。そこで、ブラジル農業研究公社(Embrapa)では、牛を放し飼いするエリアにユーカリの樹を植樹し、メタンガスの排出を抑制する試みを行なっています。

木々が生える牧場のメリットは、木陰ができること、木によって草に届く光が遮られたことにより草の葉緑体が増えて栄養価の高い飼料となっていることから、乳牛の生育速度が早くなり、出荷までの期間が短くて済む、とのことです。慣行の畜産よりも出荷量も多く、成長した木々は、木材として利用可能ということです。

従来のやり方に囚われず、新たな方向で事業の展開を模索する。これは持続可能な社会づくりにおいては何より重要なアクションだと思います。昨日、ESDの授業で松岡先生が話されていた「弁証法的アプローチ」そのものだな、と思うのですが、こうした事業が進むに至ったプロセスを読み解き、弁証法的アプローチによる価値創造がおこりやすい社会をどうつくっていけるかな、と改めて感じました。

そもそも、そんなに畜産を通したメタンガス排出が本当に温暖化に影響しているのか、とか前提を問い直す必要がありますが・・・。木陰で休めることで牛が健康に成長できる気がしますし、牧場が牛を育てる以外の機能を持つことができれば、一石二鳥どころか三鳥以上あるような気がしますが、いかがでしょうか。

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