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医者とデザイナーの共通点

ぼくはに尊敬している職業が2つある。1つは医者。そしてもう1つはデザイナー。

全くちがう職業なのだが、この2つの職業には共通点がある。それは、問題点を見つけて、それを解決する仕事だということ。

医者の場合、まず患者を診察してどこが悪いのかを見つける。そして、悪い箇所があれば、それを治すためにどんな治療が最適かを選択し、実行する。

要するに、

1.診察(問診や触診などの検査)
2.治療(薬の処方、手術など)

ざっくりこの順序で仕事をする。

そして、意外と知らない人が多いが、デザイナーの仕事の流れも実はほとんど同じだ。

1.クライアントから話を聞いて問題点を見つける。(診察)
2.問題点を解決するために最適なデザインを行う。(治療)

簡単に言ってしまうと、この流れだ。

この1→2の流れは、医者では当たり前のこと。医者がもし1と2を逆転させるとめちゃくちゃ大変なことになる。

「やってみたいオペがあるので、問診もせずにお腹を切る」

「効果を試したかったので、新薬を処方する」

もしそんなことをされたら大問題だ。

だが、デザイナーと言われている人のなかに、たまにこの順序を理解していないのでは?と思う人に出会うことがある。

1.の「診察」があまり行われないまま、「処方箋」を出してくるデザイナーのことだ。

今まで何人かのデザイナーと仕事をしてきたが、稀にそういう考え方の人に出会うことがあった。おそらく、その人はアーティスト的な要素が強いデザイナーなのかもしれない。

そういう人は、自分はこういうビジュアルが好みだ。このビジュアルがかっこいい。ということをクライアントに当てはめようとしてくる。

それがピタっとハマればいいが、ハマらない場合はなかなかしんどいことになる。

逆に、優秀なデザイナーの特徴は、まず「目的」をはっきりさせる。

「目的」を明確に定めることで、そこに向かうために必要な「手段」として何が必要なのかを考える。

これは極端な例かもしれないが、展示会のDMのデザインを依頼したけれど、そもそもDMの目的が、展示会場に人を呼ぶことなら、DMじゃなくて別の手段でもいいんじゃないの?という考え方だ。

ぼくは、こういうデザイン思考がとても好きだ。自分の仕事でも、常にそういうデザイン思考で物事を考えるように意識している。

ただ、いまだにこうしたデザインの考え方が特に陶芸の世界ではあまり浸透していないことに、いろいろなシーンでもどかしくなることが多い。

デザイナーを、ただ「DMとかポスターとかをおしゃれにレイアウトしてくれる人」のように考える人がいまだに多い。

そんな人に、デザイナーを紹介して、と言われても絶対に紹介したくない。実際、紹介したデザイナーが不遇に扱われるのを目にし、紹介したことを心から悔やんだこともある。

デザイン思考は、あらゆる職業の人に必須の万能の思考方法だと思う。ぼくは別にデザイナーではない。ただ、デザイン思考の重要性を知っている。そしてデザイナーの重要性も知っている。

たったそれだけだが、それが今までじぶんがやってこれた大きな理由の一つだと思っている。

陶芸を志している人はもちろんだが、その他のあらゆる職業の方にとってこのデザインの考え方は知ってほしいなと思います。

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