シン・エヴァンゲリオン劇場版感想

◆はじめに

映画や漫画を評価する時、人は何で評価するのだろうか。シン・エヴァンゲリオンを視聴した今、どのような形で感想をまとめれば良いか頭を悩ませてる。主人公に感情移入して観る人ならばキャラクター中心にまとめるだろうし、あくまで作品としてストーリー、音楽、脚本等に着目してまとめるなど感想のまとめ方は多種多様に渡る。そこで私が映画を観るときは大抵構成に着目しながら観ることが多いので構成を大きな軸として、また主人公に着目して感想を書こうと思う

以下ネタバレ有

◆主人公は誰か

本作品の主人公は誰なのか。人は皆シンジ君でしょと言うと思う。しかし私には物語を読み解く際、中学時代の国語教員の教えが思い浮かぶ。

「最初と最後で最も変わった人がその物語の主人公である」

本作品における変化を生じた人物は誰だろうか?新劇場版は作品内でも長い年月を経ており、特に破→Qでは14年の歳月を経ている。しかしそんな中で変わっていない人物たちがいる。エヴァ搭乗者達である。

アスカはQでエヴァの呪いと称していたが、今作でエヴァ搭乗者達が純粋な人ではない描写がいくつもある。(例、アスカは水のみで生きていける)そのせいか、外見上も変化はないまま物語は幕を開ける。

一方今作の終盤に着目してみるとエヴァ搭乗者全員が成長し、外見上も変化し、新たな人生を歩んでいる。もちろん最も変化が著しいのは声変わりもし、大人になったシンジ君であることは間違いないが、それでも全員の変化に私は目を見張った。

つまり結論としてこのシン・エヴァンゲリオンの主人公はエヴァ搭乗者全員説を提唱したい。

◆ミュージックプレイヤーを必要としなくなった碇シンジ

本作の当初シンジ君は無気力状態でスタートする。単純にいじけているだけかと思いきや自ら何もしない事を選んだと発言する。破の後のニアサー、Qでのカヲル君を死なせてしまった事等やることが全部裏目に出てしまった為だが。(それでも出された料理は食べなさい…委員長の親父さんの言う通りだ)そんなシンジ君が立ち直るためには時間と良い環境しかないと思っていたがあれ程までに緻密に黒綾波やトウジ、ケンスケを交えて描くとは予想していなく、良い意味で裏切られた。

特に今回印象的であったのはゲンドウとの対峙である。旧劇や漫画版でもここまで父と向かい合ったシンジ君が観れると思わなかった。そしてシンジ君は父から譲り受けたミュージックプレイヤーを返す。これは外界との遮断をもう必要としなかったように解釈し、シンジ君の成長を表しているように思う。

そして最後外見上も成長したシンジ君がマリと戯れるのだが、この時DSSチョカーがマリによって外される。ここが単純に比喩表現なのかどうなのかが分からない。すでにエヴァにさよならを告げ、乗る必要もなかったはずがDSSチョーカーを身に着けている事、それがマリによって外される事。。。もう一回見ます。。。(´・ω・`)

◆メインヒロイン・マリ

出自など秘密が多いマリ。そして今回晴れてメインヒロインになりましたね。この作品においては最も変化の少ないエヴァ搭乗者でした。恐らくマリはマリ自身の物語よりも各主人公たちを繋ぎ、導き手のような存在なのだろうと思います。

漫画版読んでいた人は冬月先生との対峙でわくわくしたと思います。私もその一人です。漫画版は半公式なんでしょうね。

アスカにべたべたするマリが凄い良かった。。。髪を切ってあげたり、アスカに対する気遣いなど随所に感じます。辛いことの多いこの作品に底抜けに明るいマリに救われる作品でした。

◆綾波レイとアヤナミレイ(仮)

まさかアヤナミが農業するとは思わなかった(笑)。別人とはいえ、破で食事会を企画したようなポカポカした感じがとても堪らない。あの時間はシンジ君が立ち直る為の時間だと思うのですが、一方でアヤナミレイの成長物語でもあるんですよね。Qでアヤナミレイならどうすると自問自答していた彼女が自分の意思を強く持つ姿に惚れ惚れし、自我を保てなくなったことに涙。

そして破で助けた綾波がキチンと初号機の中にいたことが嬉しすぎる。シンジ君じゃないけど「あの時助けたんだ!」って思っていたので本当に良かった。それに髪がロングになっていましたね。アスカが言っていましたが、純粋なリリンでなくても髪は伸びると。綾波もしっかりと初号機の中で生きていた証ですよね。

◆"式波"・アスカ・ラングレー

なんでケンスケ何だよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

ケンケンって何だよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

いや分かるんですよ。アスカの大人になっちゃったというセリフで。アスカの成長を描きたいならシンジ君じゃないとは分かるんですよ。

でもなんでケンスケ何だよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

でも旧劇オマージュ?の海岸で赤面するアスカは最高に可愛かった。眠ることもでき、大人になったアスカが観れて本当に良かった。

◆Qとシン

今作は前作にあたるQがあってこそのシン・エヴァンゲリオンなのだと強く感じた。物語には起承転結がある。Qは明確に”転”であり、シン・エヴァンゲリオンは明確に"結”である。20年以上も続くエヴァを終わらす為には、Qのような机を180°回転するくらいの力技が必要だったと強く感じる。

破でのシンジ君へのセリフに批判もあったミサトさんがしっかりと上官を最後まで全うしたことに感動を覚える。マリが最後シンジ君に言ってた「少しは世間を知れ!そして姫を助けろ!」を全部やり切れたことが素晴らしい。

Qをあの時批判していた人たちに改めて言いたい。Qっていい作品だね。

最後に

長きに渡るこの「エヴァンゲリオン」の最後に立ち会えたことが素直に嬉しかったです。一抹の寂しさもありますが。しばらくしたらIMAXでも見に行こうと思っていましたが、我慢できずまた見に行くかも。この作品に出会えて本当に良かった。


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