自分と他人の境界線

結婚して1人目の子どもが小さいころ、夫が時々私の母に声を荒げることがあった。夫は乱暴な人ではないし、むしろ人とは冷静に話をする人だ。
母は傷つき、「彼は自分のお母さんにはそんな態度をとらないのに、どうして私にはそんな態度を取るのか」とよく私に文句を言った。
私も自分の肉親がそんな風に扱われるのはいい気分ではなかった。

その後、夫と何度か話し合った。
「(貴女の)お母さんは僕や僕たち家族の境界線を踏み越えて来ることがある。僕はそういう時に注意してるんだ」
例えば、母が食べ物や飲物を私に勧めて断っても強引に盛り付ける、息子が何かをしようとしている時に息子の意向を無視して母の思う通りの行動をさせようとする、私たちの家で母が息子と留守番している時に勝手に少し離れて住む祖母を招いてしまうなど…。

私はそれから自分(たち)の境界線を注意深く観察するようになり、母が踏み込んで来たら、その場で注意するようになった。
「お母さん、それは私(たち)が決めることだから、お母さんが決めなくても大丈夫」、「お母さん、私は今お腹が空いていないからそのお菓子は要らない」など。

私が中学か高校生くらいの頃、家の居心地が悪く、早く一人暮らしをしたい、と思っていた理由の一つは、それだったのか、とようやく気づいた。

その後、母との関係がまあまあ良いものになるまで、結構色々なことがあった。母から本当の意味で自立するきっかけをくれた夫には心から感謝している。


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