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過去の震災の教訓は何処に?~東日本大震災から13年~

 東日本大震災から13年がたちました。
 そして今年は、元日に発生した能登半島地震により、今なお不自由な暮らしを余儀なくされている方々が数多くいらっしゃいます。
 この国は何度となく震災に襲われ、それらから得た教訓を基に制度化された部分については、今回の能登半島地震で機能している面もあるようですが、それでも今回の震災報道を見ていて強く感じるのは、現地に入って復旧・復興に携わっていらっしゃる人の数が、あらゆる部分において少なすぎるということです(NHKは比較的復興が順調に行っているところばかり取り上げているのでは?という疑いも)。
 もちろん、能登半島先端部では、かつてあった鉄道が廃線になった区間もあり、唯一の交通手段である道路が各地で寸断されていることが大きな足かせになっているというのはあると思います。しかも発災が元日という、1年のうちで最も緊急事態への対応が手薄になりがちであったであろう日であったとはいえ、初動の遅れと、震災直後に、復興の妨げになるから被災地に来るなと強くメッセージを出し過ぎたというのが、その後の復興の進み具合を大きく遅らせる要因になってしまっているように思えます。
 これは今回の震災対応に限らず、今の自民党政権の体質と言っても過言ではないように思うのですが、制度設計の段階で想定していた範疇に収まっている分にはそれなりに対応できるのですが、想定を超えたり、想定していなかった事態が起こったときに臨機応変に対応する能力が著しく欠けているように思います。そういったことが起きたときこそ政治の出番のはずなのに、官僚が書いた作文がないと公の場でコメントできなさそうな人が総理大臣やっているようではね…。総理大臣の仕事とは本来、官僚が書いた作文を読むだけの、誰にでもできそうな簡単な仕事であろうはずがないのですが、現実はそう見えてしまっているのは自分だけではないと思います。その結果、今の政権は、災害とか予定外のことが起こったときにことごとく対応が遅いという定評につながっているのではないでしょうか?
 復興ボランティアにしても、受け入れが始まった当初は、被災地の近くに宿泊できる場所がなかったため、金沢に集合して、バスで片道3~4時間かけて被災地入りして日帰りで活動されていたとのことですが、例えば東北で言えば、宮古市中心部でボランティア活動するために盛岡に集合して、片道2時間バスに乗って移動して日帰りで活動するようなイメージ(距離的には。能登半島の被災地は道路事情が悪いので時間はもっとかかるわけですが)をすると個人的には想像しやすいのですが、現地で活動可能な時間も短い上に、山道を長時間のバス移動するのも、それだけでけっこう疲れますからね。
 今月16日には北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業するのに合わせて、北陸応援割という旅行支援が始まります。金沢などほとんど被災していない地域でも震災後観光客が激減していたことを考えると必要性は理解できるのですが、ホテルなどに2次避難されているみなさんが、「自分たちは落ち着ける場所が確保できるまでこのままここにいていいのか?」と心配する声が少なからずあがったのは、倒壊した家屋の撤去もなかなか進まず、落ち着き先を見つける目処すら立たない人が少なからずいらっしゃる中、配慮が足りなかったと感じます。
 更に始末が悪いのは、対応の遅れや支援が足りてないことなどを国会で追及されても、これだけ甚大な被害が出ているんだから時間がかかるのはしょうがないんだと、ある意味開き直りとも取れるような趣旨の発言をするなど、自民党のやることはいつでも常に正しいと主張し、決して間違いを認めようとしないところです。
 東日本大震災からの復興関連の仕事で宮古の被災地に入った経験から言えば、年数がたてばたつほど避難先で新たな生活基盤を築いて戻ってこない人が増え、その傾向は若い人ほど顕著です。その結果、被災地では空き地が目立ち、高齢化が加速したところが少なからず出ているのが現実です。なので、甚大な被害が出ている中であっても可及的速やかに復旧させることが重要になってくるのですが、首相官邸は被災地のことよりも気がかりなことがいろいろあるようで…。
 あと感じたのは、生活に欠かせない主要インフラのうち、電気とガスは、必要な機材と燃料さえ確保できれば個人レベルで何とか確保する手段がありますが、震災で長期間断水している環境の中で、安全に飲める飲料水を確保し、かつ生活で出た汚水をちゃんと処理することは、個人レベルでやろうとするとほんとハードルが高いなと感じました。
 何はともあれ、過去の震災の教訓をちゃんと生かした、被災者ファーストの対応を願うのみです。
 
 世界的に見ると、秋に行われるアメリカ大統領選挙で、「もしトラ」というフレーズを使って、トランプ前大統領が再選される可能性が高まってきていることを不安視する論調の報道が目に付きます。日本も含めて「保守派」と称される人たちが政治の中心に立って、それまでそれぞれの国で持っていた、本来大事にしていくべきものを壊していくさまを見ていると、このまま行ったら行き着くところは第三次世界大戦なのでは?と不安になります。
 
 最後に、あの時の気持ちをいつまでも忘れないためにも、この動画を貼っておきます。


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