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アルジャーノンに花束を

ダニエル・キイスが書いたSF小説

荒唐無稽な話が多いSF小説の中で、人間の心の中に広がる暗黒の宇宙を描いた異色作で、ヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞した名作の名前が「アルジャーノンに花束を」といいます。
昔読んだときにはそれほど感銘を受けたとはいえませんが、最近読み返してみてある部分に計り知れない恐ろしさを感じました。

まだ読んだことのない人のために、簡単なストーリーを紹介します。

主人公は、チャーリー・ゴードン。知能指数(IQ) 68という知的障碍者が、ある大学の野心的な手術によって短期間でIQの改善に成功します。最終的に到達したIQは185、アインシュタインをも凌駕する大天才に変貌します。彼より先に手術を受けていた天才白ねずみのアルジャーノンを観察し、彼を手術した大学教授の論文の理論的欠陥を検証したチャーリーは、恐ろしい結論に達します。自分もアルジャーノンと同じ様に、急速に知性を失ってもとの IQ 68に戻ってしまう運命であることを。

物語は、チャーリーが大学教授から義務として書かされた経過報告書の形で進んでいきます。チャーリーの知的発達に従って、誤字脱字だらけの経過報告書は見る見るうちに精緻な論文の形になり、やがて知性のピークを過ぎて IQが劣化していくままに、元のかたちに戻ってしまいます。
物語の仕組みとして、昔は周辺の人たちから哀れみを受けたり、馬鹿にされたりしながらも親切にされて幸せだったチャーリーが、鋭い知性を獲得していくにつれて、周りの人たちが彼を恐れるようになりやがて彼から離れていくことになり、友人は一人も居なくなります。
そして、元に戻ってしまった彼の周辺にはやさしく彼を受け入れてくれる友人達が戻ってきます。

私にとって、本当に恐ろしいのは最後の1ページ。

知性が時間とともにどんどん劣化していく過程は、書き続けている経過報告書の1人称の文体に現れます。


「ついしん。どおかニーマーきょーじゅにつたいてくださいひとがわらたり友だちがなくてもきげんをわりくしないでください。ひとにわらわせておけば友だちをつくるのわかんたんです。ぼくわこれから行くところで友だちをいっぱいつくるつもりです。」
「ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください。」

ここで、この本は終わってしまいますが、読み終えてハッと気付いたのです。
この本の後半で、二ヶ月の間にチャーリーの身の上に起こった悲劇は、これから数年の間に私の場合にも起こる可能性があるということを。

そういえば、思い当たることがないこともありません。
最近は、顔だけは鮮明に思い出せるのに、その人の名前がどうしても出てこないことがあります。また、自分の部屋に何か物を取りにいって、ハテ?何をとりに来たのかとしばらく考えたりすることもありました。 
この間、石畳の道で蹴躓いて転びました。
つまりそれはもう緩やかに始まっているのです。

それでは、80歳になっても自前の歯が31本残っているというあの話は嘘かというと、それは本当に残っています。私は、朝起きたときに、すぐ歯を磨きます。食事のあとも、寝る前にも歯を磨いたことはありません。1日1回だけです。歯医者さんに言わせるとそんなことでは、31本の歯は残らないといいます。私が皆さんと違うことをしているとすれば、それは「歯を磨いたあと、ミネラルウォーターで口を漱いでいる」ことだけなのです。
勿論、其の水は市販の「南アルプスの~]とか「富士山麓の~」というものではなく、私の会社で作っている「シーマロックス」というミネラル水の素を2000倍に薄めたものです。「シーマロックス」には、30種類のミネラルが含まれており、抗菌性能と歯茎を引き締める働きがあると私は信じて、毎日口を漱いでいます。
どうも、ミネラル屋の親父の癖が出て脱線してしまいました。

本題に戻って、
今後、この私が書くNOTEのズーッと後の例えば、第100話を読んだ人がもしも居たら、
「あっ、そういえばこの人のNOTE第21話で予告していたことが、これだったんだ!」
と気付いてくれて、しどろもどろの駄文を許してくれるかも知れません。

どーも話が湿っぽくなってしまいましたが、つぎはやはり昔話に戻るほうが気持ちよく読んでもらえそうですね。


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