見出し画像

CG vs 絵画

CGアートにハマった。

Frederik Heyman

↓作品(Arca"Nonbinary"MV)

人間のあらゆる欲望の限りを、CGの技術でもって完璧に統制し、異様なほどエレガントに、ある種アカデミックに描いています。

この世の終わりをここまで正確に表現しているアートが他にあるでしょうか?

Arcaのアートワークから作品知ったのですが、僕はこれを見て、絵画はもうやれることがないのでは、と真剣に思ってしまいました。

絵画というのはpaintingのことですが、そんなのもう何十年も前からオワコンじゃん、と言われればそうなのですが、僕は結構保守的にpaintingにはpaintingの価値があると思って、未だに生きてきたのです。
が、しかし絵画の過去とこれからを見た時に、絵画が延々と自分自身にツッコミを入れ続けているような状態であることは事実であり、何かを表現する、という根本の部分では絵画はローテクに過ぎないと言わざるを得ないのかもしれません。
多くの場合で、paintingよりCGの方がより高い精度でモチーフを表現できることは、純然たる事実です。これにしっかり目を向けなければいけません。

CG vs 絵画、勝負になりません。
完膚なきまでに、絵画が負けてます、今の僕の中では。戦闘力が段違いに弱い。

しかし僕はpaintingには価値がないと言っているわけではありません。

最近今まであまり興味のなかった西洋古典絵画を意識して見るようになったのですが、何故かと言うと、その作品が単純に、現在の技術では再現不可能だからです。
どうやって描いているのか、わからないのです。それが本当に不思議で、予想は出来るし、色々なレベルで研究している人もいるだろうけど、結局のところは描いた本人しかわかりません。古典絵画のみならず、ゴッホの絵ひとつとっても、全く再現不可能です。
古典絵画は失われた技術、ロステクであり、保護すべき文化財です。
それは絵を描けば描くほど、見れば見るほど、より理解が進むことだと思います。いくらCGやら何やら技術が進んで表現が多様化しても、過去の巨匠達のようには絶対に描けないのです。だから絵を見ることは、第一にペインターにとって最良の学びであり、技術的な価値があります。

しかし、一般の鑑賞者にとってはどうでしょう?
どうやって描いているか、そのことに目を向ける人がどれほどいるでしょうか?
一番最初は、何が描かれているか、何を表現しているか、そこではないでしょうか?

絵画と同様に、CGを見るときもやはり、そのCGらしさ、CGの技術そのものに注目するのはCGクリエイターがほとんどに思われます。

僕がCGアートを見た時、まず形や質感が素直に見えてきました。そして作り物のそのフォルムに、人の剥き出しの欲望をダイレクトに感じました。それが、絵画と比較して新鮮な体験だった。ダイレクトに、という部分が大事で、雑味がなく、生モノに感じた。寿司とか、フルーツみたいに。
しかしその僕のサッパリした印象と、実際の創作とは乖離していることでしょう。CGを作るのは絶対に簡単ではないと思います。絵画よりも遥かに困難だと思います、何となく直感的に。人の作ったものだが人間の手垢をそれほど感じない、そこもクールに見える点。

モチーフの姿がクリアに見えること。しかもそれが同時に人の手による作り物であること。この2つの両立が、絵画ではまず無い。僕にとっては、現在は、だけど。だからCGが羨ましい。絵画には無駄な部分が余りに多すぎる。

あんまり都合よく社会の話と繋げたくは無いけど、これからの時代、過剰な物は無くなっていくと思う。空虚が膨らんだだけの物はいつのまにか消えると思う。

そんなこんなで、今の絵に向かいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?