手入れする、野外作品展に向けて

▷ 11月19日開催 野外作品展「この世界にふれる時」

里山での野外作品展に向けて会場整備を行いました。

草を刈って、橋をかけて、土を固めました。皆で作業をしたら、みるみるうちにキレイになりました。あんなに混沌としていたのに、、、やったぞ!作品展の会場ができました。でも、初めてここに訪れる人は、手つかずの、ぽっかり空いた、”自然のまま”のスペース、だと思われるんでしょうね!しかし真実は違っているのです。

例えば、僕が普段目にしている景色は、人の手入れが継続的にされることによって維持されているんだな、とそういう気づきがありました。あったりまえのことなんだけど、忘れてしまっていた。やらなければ、そのままで居続けることもできないんだなあと。竹は厄介です。何もしなければあっという間に竹で浸食される。セイタカアワダチソウの茂みにも飲み込まれる。何かの番組で人類が突然全て消えてしまったら世界はどうなる?というのがありました。すぐに自然に覆われます。データも何もかもカビが生えて腐って土に飲み込まれる。意外なことに、生き残る可能性が高いのは絵画かもしれない。ラスコーの洞窟壁画は2万年以上も前に描かれたものらしいですが、今もはっきりと見ることができます。

↓これは、京阪私市駅から里山きゃんぱすまでの道中、くろんど池ハイキングコースの写真。

こういう場所も、人の手入れが完璧に定期的にされているのだな。スズメバチやカエンダケ注意の張り紙はあるし、朽ちて倒れた木は取り除かれる。美しい状態に保たれている。

私市駅から里山きゃんぱすまでは歩いて1時間半。けれどこれは道を知っている案内人がいてこその1時間半。初見の人はかなりきつい、迷ってしまうと思います。しかも結構険しいです。いや、景色もいいしハイキングは楽しいのですが、体力がないとちょっと厳しい。やはり車で来られるのがベストだと思われます。それか、近鉄富雄駅からバスが出ていますのでそちらから来られるのがいいと思います。バスは1時間に1本。三山木駅からもバスが出ておりますが1日に2本しかないので富雄の方が良いです。

僕は毎回私市から歩いて行っております。その方が早い。帰りは日が落ちて危ないのでバスです。私市駅から降りるとすぐにハイキングコースに行けます。休憩所まで30分、川沿いに山道を登ります。休憩所でランチして、そこからまた川沿いに山道を20分くらい行くと、大きなくろんど池に出ます。くろんど池を抜けると、大きな道路に出ますが、そこからまた脇に竹林道に入って10分、田畑が広がる田舎道に出てきます。さらにどんどん歩くと、里山への入り口にやっと到着します。長い。けど、それが結局一番早い。自力で行ける気概のある方は挑戦してみてください。

里山の風景を見ていると、何十年、何百年、いやもっと前の景色を見ているような不思議な気分になってくる。一番上の拠点からの景色は、ホントに、電柱しか近代的なものが見えてこない。車の音もほとんど聞こえない。聞こえるのは木々が揺れる音くらい。たまに鳥が鳴いている。夕方になると近所の犬が吠えている。里山はそんなところです。しかしのどかではあるが、のんびりしている時間はありません。こんな山道を抜けて来たのは、絵を描くためです。ただそれだけです。木枠を組んで、キャンバスを張って、歩いてモチーフを探し見つけたら、すぐに描いていく。油絵です。直接下書きなしですぐに絵の具を乗せていく。時間がないのです。日が暮れる前に描かなければならないし、その時見つけた景色がまだ新鮮なうちに、描き切らなければ全く意味がない。油絵は、戸外制作にもってこいです。そのために生まれた画材のようです。絵の具が垂れないし、手早く色の複雑な濃淡を作ることができる。水もいらない。筆も洗う必要がない。筆は5本もあれば十分。

最初はストレスに感じていた絵の具の粘度も、関係なくなってきた。とにかく手を動かしてくっつけていけば良いだけだ。素早く、パレットと画面を行き来する。目は景色に貼り付けたままで。

パレットに植物の種子が飛んでくっついていた。練りこんで絵につけてあげた。ニュースで、ゴッホの絵の中にバッタが入っていたというのを耳にした。本当に、外で描いていたんだな。油絵の具はベタベタで、虫がくっついたら多分逃げられない。ゴッホの絵はすごい厚塗りだから、かわいそうに。里山にもバッタはたくさんいます。マムシもいるし、イノシシもいる。ゴッホは1日に何枚も絵を同時並行で描き、仕上げていたらしい。忙しいなあ。でも、戸外制作は本当に時間との勝負だから気持ちは少しわかる。30分〜1時間くらいで仕上げなければ意味がない。今日は、今までで一番マシな見れる絵が一枚できた気がする。あと1日行くから、また新しい絵が描けたらいいな。僕は絵を描くのが大好きなんです。。でも気ままにしか描かない。でも気ままに描くって、めちゃくちゃ忙しい。思い通りにするということは、ほぼ不可能で、だから目の前の景色と釣り合いをとっていかなければならない。そのスリルが忙しすぎる。

本当はまだまだ時間がいるけど、仕方ない、もう来週の日曜日が作品展です。でも別にいい絵ができなくったって、いいかな。あと1枚くらいいい絵が欲しいけど。できないなら仕方ない。当たり前だ、まだまだ描かなければいけない。それに描いた絵を展示後どうするかなんて考えもしてない。僕にとっては当日の展示よりも里山で描いてる時間が大事になってきた。また、手段と目的が入れ替わって来ているな?でも当日はワークショップもやるし、それも楽しみだ。何より、他の作家の作品が見られるのはすごくワクワクする。早く芸術祭やりましょう。以上!

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