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でも、qpさんの絵は………

ある日のみずいろ絵画教室にて…

何でも赤青黄を使えば良いんです。
とにかくグレーになれば良いんです。
手っ取り早く白黒を出せば良いんです。

(乱暴だなぁ。。でも真実だから。。。。)

そんな風に、色彩のセオリーについて話している時、ふと、qpさんの絵が頭をよぎります。

そして作品をネットから部屋から引っ張り出してきて眺めるのです。

でも、qpさんは違いますけどね!という、絵画理論への反証として。いや、絵画の偏向した様々な手法への懐疑点として。

最近、そんなことが多くて、教室でやってる色彩論やら絵画の話がqpさんを紹介するフリになってる感すらある。

というのも、qpさんの絵はいつもどこかで頭の中にあった気はするが、先日、パープルームギャラリーで個展を拝見したせいです。

その名も「セルヴェ 」。セル画に着想を得た新作絵画展。作品について語る前に、そもそも、qpさんって?知らない人は知らない。知ってる人は知っている。そんな存在。

qpさんの絵は謎めいています。qpさん自体謎めいている。もちろんお会いしたこともなかったし。絵と写真はたくさん見てましたが。作品知らない人はどこかで見てください。でも一つの絵を見たところで上手く掴めないかもね。

展覧会冊子よりいくつか。。↓
印刷で見ると実際の印象と全く違うのですが。

qpさんの絵は言語化が難しい。

ただ、僕なりに一言で言うならば、無名性、アノニマス、ということになるのかな。

ちょっと語弊がありそうです。個性が無いとかそういう話ではありません。アートの手法や形式に縛られない、どこかするりと抜け出してしまう、その柔軟性や浸透性を言いたいのです。

でも完全に無色透明かというとそうでも無くて、いじらしさみたいなものが湧いてくる感じが無性にある。僕だけ?だからもっとそういう感情込みのうまい表現があるはずなんだけど。

もう少し説明します。

まず、その囚われなさ。

今回の個展の作品について言えば、セル画を用いながらもセル画の元々の用法、アニメのために開発され使用されてきた文脈を無視しているところ。一見抽象画のフォルムを取りながらも、美しい玉とアール・ヌーヴォーの唐草という具体性のあるモチーフである点。さらに色彩は普通抽象画が重視する画面の豊かさや均衡のためではなく、むしろ固有色として扱われ、美しいqp色とでも言えるように、フレームの彩色に至るまで徹底されています。そうだ、フレームも!フレームのマット紙に彩色がされているのです。壁もそうだが、絵じゃない部分に彩色するという、この感覚自体が現代絵画にはあり得ない感覚。作品は大事に額装され陳列されており、ぱっと見タブローのようであるが、よく見るとタブローになっていない。それはセル画であり光を反射し絵として見づらい。フィルムの裏側に塗られた色彩には厚みがなく線はペンで描かれ全く絵肌を感じない。ペイントツールで描いたよう。でも手描きという。そして重ね合わせた図像のパターン。並んだ作品に同じ図の層が見受けられるので、組み合わせによって作られたものだと分かり、一点制作ではないことが分かる。しかしそこで再度よく見ると同じ図だが手描きされているため微妙にニュアンスが異なっていることに気付く。なるほど、やはりすべて一点もの、画家の手による絵画だが、なんとも奇妙な感覚です。

以上が、qpさんにしか出来ない、柔軟さ。透明さ。領域横断性。qpさんの「絵画」という他ない表現になっていました。

で、もう一つ、僕が説明したいのが、いじらしさ、と表現した部分。スタイルに囚われない自由な表現!だと、まだ全然言葉が足りない感じかするので。

僕がいじらしいと感じたのは、天然、みたいな部分だと思います。それ、きれいでかわいいけど、意味あるのか?っていう。でも、意味なくても、やる意義はあるよな。。だって見つけちゃったんだから。。という部分です。例えば、セル画なんですが、この表現って、画家としてやるなら、セル画を使わずにペインティングで全部技巧的にやり切る方が王道だし称賛を受けるはずと思ってしまうんです。でもそれをやると全く違うものになってしまう。画家として、今回のような作品を作っているのが、なんだかすごくいじらしい。大変かわいい。線のタドタドしさも、僕はパソコンのペイントツールで描いたみたいで何だか切なくなってくる。しかしクールな感じもし、ドライにも思えた。(ご本人はシュッと線を引きたいとおっしゃっていたけれど。。。。あ、、そうなんだ。。と驚きました。)作品のサイズも絶妙で、ペインティングとしては小さいが、プロダクトとしてはキュートな感じ。何だろう、この自然体なかわいさは。。ふと見つけた蝶の羽の模様に目を奪われるような。例えが上手くないけれど。

徹底的に、絵画の見栄えや技巧に囚われずに、独自のやり方で絵を作っている点。あとは、自然を愛する小さな眼差し?よくわからないけれど、そんな感じを毎回受けます。僕にとって最高のリフレッシュになっています。頭がとろけそうになります。

もっとストレートに言える言葉が欲しい!

とりあえず、今のところは、以上です。

個展、楽しかったです。ありがとうございました。

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