筆致の話

先日の絵画教室の模様をアップしました。↓

こちら

ぜひご覧ください。

今回は「筆致」の授業でした。絵を構成する要素は色々ありますが、まず第一に絵の具。これは前半2回でやりましたね。卵黄テンペラと、油絵の具の手練りをしました。絵の具を変えれば絵も変わる。描き方も変わるし、見た目も変わる。絵の具とそれを乗せる支持体、素材のことを考えました。そして第二に、描き方の問題があります。どのように塗るか、順番、筆の形状、動かし方=ストローク、筆致のこと。

たとえば、何でもいいのですが、日の丸を描くとしましょう。白地に赤丸です。絵の具は何か適当にあるものでいいです。単純すぎて工夫のしようが無さそうですが、そんなこと全然ありません。塗り方で差をつけられます。いくらでも画面を変えることができます。塗る、という言い方は好きではないですが、どう描くか、筆致で十分勝負することができます。勝負というとどうしてもそれだけになりがちですが、描くことを楽しむためには筆致と親しくなることも必要です。ですから8月後半2回は筆致、塗り方、描き方の内容で考えています。

ただ、この「筆致」について、難しく考えることは全くないんです。筆致を変えれば絵も変わる、というただそれだけのことです。絵の具についてもそうですが、大事なのは自分で自由に色々つくることができるぞ、ということです。選択肢を増やして、自信を持つことが有効です。実際に授業ではどんな筆致も絵にすることが出来たはずです。すべての筆致は個性的なのです。

さてそんな愛すべき筆致。もう少し突っ込んだ話をすると、現代の絵画は、ほとんど筆致で見分けることが出来ます。というより、筆致で差をつくっているパターンが多いのです。特に悪い場合は、筆致のバリエーションだけになっています。要するに、今の絵画のほとんどは塗り絵になっているんです。塗り方の工夫で絵をつくっているようなものがたくさんあります。確かに、職人的に筆致をコントロールすることは立派な技術です。しかしネタがわかれば、何てことありません。現に、今回の絵画教室で素晴らしいペインティングを作ることができました。

絵は描けば描くほど、可能性が広がります。見える姿が増えれば、新しい可能性に気付くからです。そこから何を選んで何を出すかは、これは人となりです。その人自身の問題によると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?