見出し画像

油絵の自画像

「前の絵の方が良かったです。」と言われた。

ガーン・・・

2017年の秋、里山展の時からずっと油絵に取り組んでいる。その油絵の作品についてのメッセージである。前の絵というのは2017年初夏に行った「オーシャン」のこと。

2017年5月、「オーシャン」の作品↓
展示風景の写真は、《こちら》。

2017年10月、里山展の作品↓
他の作品は、《こちら》。

その翌2018年から油絵に集中して取り組む。
同年夏、成果展「たしかに」の作品↓
展覧会については、《こちら》。

秋以降はペースを落とし制作。
「たしかに」はモチーフに基づくスケッチであったが、その後はドローイングを肉付けしたペインティング作品として意識するように。ただスケッチも困った時は「たしかに」要素として取り入れている。

2018年10月くらいの作品↓

一枚の絵に費やす時間も長く取り、期限を設けず描いている。上の絵は3ヶ月以上。と言っても乾燥時間が長いのでそうなってしまう。

↓2019年初めくらいの作品。

↓2019年春の作品。

「肖像画」に取り組んでいました。試行錯誤しつつ。でも答えは未だ出ず、続きやりつつ。

で、今やっている作品↓

これで100号です。「自画像」です。同じ大きさであと2枚、プラスちょい大きいのも2枚あり、同時にやっています。画像の絵が最初の絵、でもまだ手を加えると思います。

以上、「オーシャン」から現在の油絵までの流れでした。

ちょっと自分でも整理したくて書いています。
僕はずっとかっこいい絵が描きたかった。ほとんどそれだけでやってきたけど、その中でもメインテーマだったのは、かっこいい顔の絵。なんで顔なのかって言うと、顔があらゆるモチーフの中で一番強いから。だから顔の絵で、かっこいい顔の絵というのは、1990年生まれの僕が見てきたかっこいい顔の絵。そこは絶対で、永遠に絶対にするために絵にしている。

思えば、昔も顔から始まってる。
↓2011年の絵。

「オーシャン」は、2011年の作品から続く、僕のかっこいい顔の絵の集大成的な作品でした。それは、現代の絵画のエッセンスを90年生まれの僕の美意識と端的に繋げようとするチャレンジでした。すごく簡単に言ってしまえば。。

ひとまずその仕事が仮に終わったとして、なぜ今油絵なのか?
正直言うと現代の絵画というものに否定的になってきたからです。「現代の絵画」という曖昧なワードを使うのは良くないことだと思いますが、僕は今の絵画の状況について「絵」が宙に浮いた状態だという感覚を持っています。つまりペインティングにしろ、デジタルイラストにしろ、もっと言えば彫刻にしても、それは「絵」の映像的な仮の姿に過ぎないような気がするのです。だからこそ、作品それ自体のメディウムをオブジェ化させるしかなくなってくる。しかし僕はそれはしたくなくて、「絵」に身体を持たせるようなことがしたくなってきた。「絵」をもっと直接的に、触覚的に直立させたいと思うようになってきたのです。

(かなり曖昧な言葉で感覚を頼りに書いているので自分でも読み辛い。)

そこで参照点にしたのは、印象派以前の油彩肖像画、もしくは印象派のイレギュラー的存在のヴァン・ゴッホです。特にゴッホの作品は、画家のデッサンとペインティングが完璧に一致している極めてリアリティのある作品です。リアリティという言葉も、今となっては揺らぎ過ぎているけれども。絵の実体がその表面と一致しているということです。もっとうまい言葉の表現があるはずだけど。。もどかしい!!

ゴッホはわかったけども、なぜ油彩なのか?という答えにはまだ足りないですね。もう一つの理由は、線描をまず捨てたかったからです。線描から始まるドローイングは、一見絵のシンプルな姿と捉えられるかもしれませんが、それは頭の中のイメージの設計図のようなもので、DNAのようなもの。今は情報よりも「肉体」が欲しい。そのために、粘土のような油彩でモデリングする必要があったのです。2018年「たしかに」は、そのトレーニングの成果展でした。道具は目的があって使うもの。油絵の具の捉え直し、扱い方を学びたかった。経験を頼りにやり方を見つけたかった。

2018年の油彩のトレーニングを経て、「かっこいい顔の絵」に取り組む。元からその予定でした。
そして肖像画から、今は肉体を持った自画像へとシフトしました。
なぜか?
空想の顔を描いていると、また「絵」が宙に浮いてきたからです。

一番身近で確かなモチーフは自分です。僕にとっては、自分以外いない。
それで自画像になってきたわけです。全然顔が違うやんけ。まぁそれはそうなのですが、目的のための自画像だからいいのです。かっこよければそれで良いのです。目的は、かっこいい絵。それだけ。

その目的達成のため、今後も手段は変わってくるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?