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優しい世界の中のリアル 2

タイBLドラマ「Bad  Buddy Series」試聴メモその2。

⚠︎以下ネタバレあり



同性愛が問題とされない優しい世界の中で厳しい現実に向き合う二人。
親同士や学部同士が敵対し合う世界で、敵同士のフリをして二人だけの愛を育む姿は、同性愛者が疎外されている現実を連想させ、作り話でありながら確かな共感を呼んだ。
二人を応援したい、最後まで見届けたくなる。

学部間の壁は愛の力で乗り越えた二人であったが、、、、


ストーリーつづき

大学で認められた二人だったが、親には許されることはなかった。
親同士の憎しみの原因、それは両親が高校生の時、一方の父親がもう一方の母親の奨学金を不正に奪い取ったこと。
父親は家業を継ぐため、厳格な祖父の承認を得るため、奨学金が必要だった。母親は成績優秀で未来があったが、父親によって一方的に望みを断たれた。親同士のいざこざに子どもを巻き込むなと主張する二人だったが、それは認められず、二人で逃避行の旅に出るのだった。

ここで描かれているのは、明白であり、かつての女性差別だ。

勉学の機会を男が女から奪うという、男の過ちであり罪が描かれている。
そしてそれは古い話では無く、現在進行形の話である。高校入試で女子生徒を入学させないように、合格点に男女で差を設けていたのは日本の今現在の話だ。そんなのは特段珍しいことでもなんでも無く、女性のポストが不正に男に奪われることは世界中で日常的に起きている。

親同士がいがみ合うなんて酷い親たちだと思っていたけど、現実はそんなに簡単では無かったことが判明する。
差別を生んでいたのは、別の差別だったのだ。
しかもそれは男の過ちであり、男同士の同性愛差別のメタファーの原因が元を辿れば男によるかつての女性差別だったとは。
なんとも皮肉めいていないか?

ゲイが差別されているって?
あなた達だって女を散々差別してきたじゃない。
他の男たちと同じように不正に優遇されてきたじゃない。

そう言われているような気がして、見てて辛かった。
二人も同じような気持ちだったのではないか。

「お前が僕の母親だったら、お前の父親を許せるか?」
とパーンがパットに問うシーンがある。
パットは、たぶん許すことができない、と答える。

また、サブカップルにビアンの女性同士の関係が描かれているのもこの作品では特徴的だ。
かわいくて、自然な関係性に思えた。
たぶん女性が見てもそう思えるのではないか?

他のタイBLでは、サブカプは男同士ばかりで、無理やりくっつけまくったようなものが正直多かった。男女のカップルも基本出てこない。
何故なら、BLは元々女性向けに男同士のファンタジーを描く文化であり、そこに女が登場しても、邪魔者扱いを受けてきたのだ。
女性は男好きで、男性を惑わす存在として、性的なイメージを持っている、かのように描かれてきた。それは先進的な「2gether」でさえ同じで、主役に絡む女性は敵のように描かれる。
女の敵は女?そんなわけないだろう!
女性向け作品でありながら女を疎外するような側面を持っていたように僕は思う。

男が好きではない女もいるし、女をかわいいと思う女もいる。女から見てかわいい女もいる。
そんなのは当たり前の話だと思う。
インクとパーは本当に自然な関係に見えた。

フェミニズムという観点から見ても、これまでのBL史を更新する作品だったと思う。

追記
あと、主役二人の親友同士が仲良くなってサブカプ成立を匂わせるシーンがあるのだけど、結局二人とも女性と付き合うのも良い。すごく自然で良かった。

つづき

さて、親に認められなかった二人は逃避行に出る。
避暑地のビーチで誰とも連絡を断ち、二人だけの暮らしを始めようとする。
しかし、、、、


またまた長くなるので次回ッ!!

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