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一度崩れてしまったものをもう一度立て直そうとするのはとても難しい。出発を延期して1ヶ月経って、すっかり普段の生活に戻ってしまった。普段の生活といっても、これまでと同じ場所で同じことをしている以外に違うことは沢山あった。たった1ヶ月という期間には多すぎるくらいの感情の起伏があり、自分のご機嫌をとるためにそれなりにお金を使い、その分仕事を必要以上に頑張り(有り難いことにすぐに予定は埋まっていった)、初めて1週間も休みをとって約4100mの山に登ってみたりした。
物事をすぐに判断、決定するのが苦手な自分がにしては短期間で色々なことを決断して行動に移したなあと感心する。それらの行為は自分をいくらかポジティブでいさせてくれた。
だけど、実際に手術が明後日に迫って、さらに明日現在の入国ビザが切れるという時になって、この1ヶ月で渡英を延期した結果必要になった実際的な準備を全く進めていなかったことをやっと正しく認識できた。
その準備が必要なことを全く認識していなかったわけではないことが、今抱いている違和感の根幹になっている。
入国ビザは滞在ビザとは別に発行されるもので、ビザが発行されてからある一定の期日までに入国することを条件にするものだ。
今回手術を受けることになってその期日までに入国することが難しいということが決定したのは4月18日だった。その時点で入国ビザの延長手続きが必要なことはなんとなくわかっていて、とはいえ誕生日を迎えてしまった後もそのシステムが利用できるのか(利用すればまだ対象者でいられるのか)がわからなかった。
東京にある英国ビサ申請センターは予約を取って訪問しない限り(しかもビザ申請のための予約以外は受け付けている様子がない)、電話もメールも応答してくれない。公式な場で疑問点を解消する手立てがなく、他人の経験談や留学エージェントなどが提供している情報をネットで検索して参考にするしかない。
有り難いことにいくつかの有力な情報が見つけられて、どうやらこうゆう手続きで良いはずだと言うところまでは辿り着いた。
だけど、そうすると今度は、何ヶ月延期すべきなのか判断がつかないまま時間が過ぎていく。延長には30日あたり28,000円程申請料がかかる。体調面、金銭面、準備についてそれぞれどのように進めていけば、いつ出発できることになるのかがわからなくなっていく。そういう渦巻いた思考を、日々をこなすことで紛らわせていたら手術前最後の週末に差し掛かっていた。
結論から言うと、とりあえず30日の延長をすることに決めて、手続きは昨日済ませた。手術後にビザ申請センターに行けば次の入国予定日に間に合うようにビザが再発行(延長措置なのだが再発行になるためビザ申請センターに改めて書類の提出をする必要がある)されるはず、という状況ではある。
そうなると次はフライトの再予約、到着後のホテルの再手配、各所への連絡、住居の手配と物事を進めていく必要がある。
この判断と決定の連続をどうも上手くこなせない。
それは自分に出発する意思がないと言うことではないのだけど、
一体自分は何がしたいのか、何をしようとしているのか、と言う考えに襲われて上手く判断がつかなくなる。
今だってこの事について上手く書けない。
(しばらく文章を書くことをサボっていたせいももちろん影響しているのだけど)
イギリスに行くことで私は何を得ようとしているんだろう。目的がわかったところで、それが本当にできるんだろうか。成し遂げるかどうか、ということではなく取り組むことができるのか。
どうして1ヶ月前は、片道の航空券しか持っていない状態であんなにワクワクしていられたんだっけ。パッキングもろくにしていなかったし、渡英してから住む場所も仕事の当てもなかったのに。
もう少し何か言葉にできそうな気がするけど、上手くいかない。
今日は長谷先生との面談の話の続きを書くつもりだった。
28th May 2023
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