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1,000ルピア札とテルナテ島

インドネシアの1,000ルピア(約8円)には、紙幣と硬貨がある。

広く流通しているのは硬貨の方で、お釣りで紙幣をもらうと「ラッキー」と思ったりしていた。
登場頻度の低いなかなかレアな紙幣なのだ。

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ぼくが住んでいた頃はちょうど旧札(写真下)と新札(写真上)の切り替え時だったらしく、2種類の1,000ルピア札が出回っていた。

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裏面はこんな感じ。

今日のテーマは、旧札の裏面に描かれた2つの小島。

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絵の左上にインドネシア語で「PULAU MAITARA DAN TIDORE」と書かれている。
日本語に訳すと「メイタラ島とティドレ島」。

テルナテ島の浜から眺めた、メイタラ島とティドレ島が描かれているのだ。

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テルナテ島、メイタラ島、ティドレ島があるのは、赤い丸で囲ったところ。
ダイビングで有名なスラウェシ島と世界で2番目に大きな島であるニューギニア島の間にある。

家のマークがあるのがインドネシアの首都ジャカルタなので、そこそこ辺境の地であることがわかる。


2019年の夏、ぼくはテルナテ島に行ってきて、お札に描かれたイラストと全く同じアングルで写真を撮ってきた。

じゃん。

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海にはちょうどいい感じにボートが浮いており、山にはちょうどいい感じに雲がかかっていて、いい感じに紙幣のイラストを再現できた。


さて、日本では全く無名のテルナテ島だが、実はこの島が属するモルッカ諸島は世界史的にかなり重要な場所だったりする。

モルッカ諸島、又の名を香料諸島(スパイスアイランド)。

大航海時代に、この島々のありかを求めて欧米列強が血眼になって世界中の海を探し回った。
インドネシアをはじめとする東南アジアや南アジアの植民地支配の歴史は、ここから始まったといっても過言ではない。

ちなみに、テルナテ島で採取できるスパイスはクローブ。

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クローブは小さな赤いつぼみで、かじると舌を刺すようなピリピリとした刺激の後、爽やかな香りが口内に広がる。

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山から拾ってきたクローブは、島内の至る所で天日干しにされている。

また、テルナテ島は太平洋戦争時(日本統治時代)に日本軍の前線基地が置かれ、対連合国軍との主戦場にもなった。

そんな苛烈な歴史を歩んできた島だが、今ではゆったりとした時間が流れる平和な小島だ。

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美しい海、登りごたえのある活火山、数百年前にオランダが島に建造した数々の砦跡、大航海時代や第2次世界大戦で歩んだ数奇な歴史…。
文化的にも自然的にも興味深い場所がたくさんあるテルナテ島だが、あまりにもマイナーすぎるので、観光情報は少ない。

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