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委託販売を一切しない理由

仕入れは卸問屋を介さず、できる限りメーカーから直接仕入れています。そのほうが商品に対する思いや、開発に至るストーリーなどを詳しく知ることができるからです。

仕入先によっては仕入れロット数が大きくなり、資金繰りを圧迫する場合もあります。取引先の数も多くなり、経理業務もたいへんになります。それでも、ストーリーを深く知るためには必要な労力だと考えています。

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「なぜこの形状なのか? 」
「なぜこの素材なのか?」
「どれくらいの耐久性を想定しているのか?」
「そもそもなぜつくろうと思ったのか?」

知りたいことは山ほどあります。世の中にはいい商品にも関わらず、魅力が伝わらず廃番になってしまうものがたくさんあります。飯田屋では“売れ筋”だけではなく、“売れな筋”の魅力もしっかりと伝え、出会うべきお客様と道具をつなげたいのです。

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作り手はものづくりの専門家として、細部にまでこだわりを持っています。そのストーリーを聞くと、道具に対する見え方が変わってくることもあります。逆に、売り手として品質に問題を感じるときなどは、妥協なく意見をぶつけます。

本音での意見交換を重ねるほどに信頼関係を築け、多くの情報を教えてくれるようになります。ストーリーをきちんと伝えようと努力をする売り手には、作り手も本気でストーリーを語ってくれるのです。

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一方で、商品を深く知るほどに「メーカー小売希望価格が安すぎるのではないか?」と、不思議に思うことが増えました。いい商品をつくっても、高くては売れないため、企業努力でギリギリのところまで販売価格を下げている場合も少なくありません。

そこで飯田屋では、いい商品をいい商品として売り続けられるいい店であるために、決めたことがあります。仕入れを100%買い取りとしたのです。
道具と真摯に向き合うために、委託商品の取り扱いは一切しません。

委託販売は在庫を持つリスクから逃れられるからメリットが大きいようようですが、道具に対して誠実になれません。心のどこかで「売れなければ返品すればいい」と思ってしまうからです。

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今では「委託でもいいから、とにかく飯田屋に置いてほしい」と頼まれることもあります。しかし、心から置きたいと思う商品以外はすべてお断りをしています。

人生をかけて料理道具を愛しているのに、その道具に真剣になれないような逃げ道の取引をする必要がどれだけあるでしょうか。飯田屋では今後も委託販売は一切行いません。

リアル書店の奇跡

そのために飯田屋では、どんな取り組みをしているのでしょうか。それは、本編『浅草橋かっぱ橋商店街リアル店舗の奇跡』で確認していただければうれしいです。

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