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減り続ける実質賃金

物価高騰が続いた2023年。多少給与が上がったとしても、私たちが物品購入に使えるお金は減り続けています。


厚生労働省が1月10日発表した2023年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、一人あたりの賃金は物価を考慮した実質で前年同月比3.0%減りました。マイナスは20カ月連続。物価高に賃金上昇が追いつかない状況が続いています。


実質賃金のマイナス幅は2023年10月の2.3%減から0.7ポイント拡大。名目賃金は上昇傾向にあるものの、実質賃金を算出する指標となる物価(持ち家の家賃換算分を除く)は3%台の上昇が続いており、賃金が目減りする状態にあります。


実質賃金とは、労働者が労働に応じて取った賃金が実際の社会においてどれだけの物品の購入に使えるかを示す値。賃金から消費者物価指数を除することで求められます。このときの賃金、すなわち貨幣で受け取った賃金そのもののことを名目賃金といいます。


名目賃金を示す一人あたりの現金給与総額は前年同月比で0.2%増の28万8741円。2022年1月から23カ月連続のプラスとなっていますが、それ以上に諸物価の価格高騰が実質賃金を削り取っています。



一人当たり実質賃金の推移(内閣府「令和4年度年次経済財政報告」)

上表は、米英独仏と日本の一人当たり実質賃金の推移(令和4年度年次経済財政報告)。1991年を100とした場合の変化を示したもので、米英独仏が30~40%増えている一方で、日本はこの30年間横ばいのままです。


さて、このように実質賃金が減り続ける中にあって、何かを買おうとするとき、私たちは何を基準としているでしょうか。価格? 品質? 機能? デザイン? 買いやすさ? 流行しているから? 買うものによっても、買うときによって、基準に濃淡があることも確かです。


しかし、「欲しい」と強烈に心を動かされた後に、財布と相談するのが常です。「安い!」と思っても、欲しいものでなければお客様は財布を開きません。そして大抵の場合、安さに惹かれて購入するとき、買ったことを後悔します。


お客様の気持ちになりましょう。迷う理由が「ちょっと高いかな」と迷うとき、その買物は買う価値を持ちます。買う理由として「安いから」が先に立つとき、その買物の買う価値は劣ります。


「安物買いの銭失い」という言葉があるように、買物は真剣勝負。買物とは、じつはその人の価値観の表れであり、ライフスタイルの発露です。私たちの務めは、商いを通じてお客様に未来につながる幸福を届けることです。


お客様の立場になりましょう。買物とは、勤労の対価を人生の喜びに変える至福の営みです。Good value for Money――自分がお金を払って買うかどうかを、常に品揃えの一丁目一番地に据えましょう。


迷う理由が価格なら
買う価値があり
買う理由が価格なら
買う価値は劣る

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