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じわりと増える休廃業

休廃業・倒産が増えています。企業信用調査会社・帝国データバンクの調査によると、2023年に全国で休業・廃業、解散となった企業は5万9105件となったとのこと。年間で4.03%の企業が市場から退出・消滅した計算になります。


2023年に休廃業した企業のうち、「資産超過型休廃業」は62.3%を占めました。また、休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は51.9%となり、半数超が黒字休廃業だったものの、その割合は過去最低を更新しました。

この結果、「資産超過」かつ「黒字」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.1%となり、2016年以降で最も高かったコロナ禍直後の2020年(17.0%)に次いで過去5年間で2番目に高い水準でした。総じて2023年の休廃業動向は、特に直近の損益が大幅に悪化した企業が多い点が特徴となります。

2023年の休廃業動向は、前年から3割超の急増が見込まれる企業倒産(法的整理)とともに増加しました。休廃業はこれまで、持続化給付金や雇用調整助成金など「給付」による手厚い資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍の厳しい経営環境下でも抑制された水準で推移してきました。

しかし、2023年に入りこれらの支援策は徐々に縮小されたことに加え、電気代などエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せた格好になります。収益面・財務面で傷ついた中小企業では先送りしてきた「事業継続か否か」の決断を迫られ、さらなる経営悪化に陥る前にやむなく会社を畳んだ「あきらめ廃業」を余儀なくされた中小企業が多く発生したのです。

2024年は、事業継続のために人手不足の解消や後継者の策定といった課題が山積するなかで、「自力再建」か「円満な廃業」か、先を見据えた経営判断を求められる機会が増えるとみられます。2024年の企業における休廃業・解散は高水準で推移するでしょう。

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