熱狂顧客戦略
「あなたの店があるから私の人生は楽しい」と言ってくださるお客さまを、あなたは何人思い出せるでしょうか? 赤い表紙の一冊『熱狂顧客戦略』を読んで感じたのは、こんなことでした。
これまでビジネスにおいて、対象顧客に情報を提供する行為は多くの場合、一方的なものでした。テレビ、新聞、雑誌など既存メディアによる画一的、一方的発信を経て、ウェブサイトによってその自由度を増したものの、まだまだ対象顧客との心理的距離は遠いものでした。
しかし、スマホとSNSの普及がその距離を一挙に縮めました。低コストで対象顧客と血の通ったコミュニケーションがとれるようになったのです。
では、何を伝え、顧客とどのような関係性を築き育むことが求められているのでしょうか。新進気鋭のマーケッター、高橋遼さんによる一冊はその答えの一つです。
テーマは「熱狂」。私流に表現するなら冒頭に掲げた一文のような絆を、あなたが望む顧客とつくることです。表紙カバーの折り返しにはこうあります。
〈熱狂を巻き起こす企業の顧客戦略は「囲い込み」ではなく、「顧客と共に未来を描いていくこと」にシフトしている。本当に大切な顧客は誰なのか。「熱量」をキーワードに新たな関係構築のヒントを探る。〉
その一つのヒントが、本書44ページにある「顧客の階層と感情」の図。その頂点に位置づけられる「熱狂顧客」「熱狂的推奨者」と「ロイヤル顧客」との間には、高くて厚い「熱狂の壁」が立ち塞がっていると著者。本書では、その壁を超えて顧客を熱狂へと導いていく考え方と手法がわかりやすく書かれています。
帯には「消費者は、嘘と退屈が嫌い。」というキーワード。だからこそ、「あなたの店があるから私の人生は楽しい」という言葉こそ、何よりの顧客からのご褒美なのです。『熱狂顧客戦略』は、その道標となるでしょう。
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