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沖侑果さんに惹かれていることについて

もう何がきっかけか忘れてしまったのだけど、去年の年末あたりからSTU48の沖侑果さんが気になり始めた。おそらくshowroomを見て興味を持ったのだと思う。もしくはTwitterか。それぐらいしか接点がない。私はせとうちめぐりでSTUのいろんなメンバーと握手してきたから、別に良い思い出ではなくとも、ほとんどのメンバーは何かしらの記憶がある。だけど沖さんとの握手はまったく記憶がない。握手したかもしれないし、1回も握手したことがないかもしれない。現役メンバーでここまでピンポイントに握手の記憶がないのは、一度も握手したことがない岡田奈々さんを除けば沖さんだけだ。

そんな沖さんだけ疎外している感じになってしまっていたのは、それまで私が沖さんに苦手意識を抱いていたからだ。わかりやすく私は大人メンですみたいな雰囲気、もしくは周囲の扱い方に、私はSTUにそこを求めてないなと距離を置いていた(同じような立ち位置に佐野さんもいましたね)。

アイドル側にもファン側にもどちらにも責任があるが、そういう安直なキャラクター設定は、その人自身にフィルターをかけてしまっている。それは画像補正アプリのように対象を平坦にしてしまい、魅力をぼやかしているように見える。例えばどのグループにもいる妹的キャラとか、わかりやすいけれど、安直にそこに頼ってしまうと取りこぼしてしまう魅力があると感じる。覚えてもらうフックとしてのキャラは仕方ないけれど、そこに囚われてほしくもない。それと同時に、こちらも見つめる視線をもっと丁寧でありたい。ただ、アイドルという職業そのものがある種のフィルターであるというのはその通りで、本当にすごいアイドルは、完璧なナチュラルメイクみたいに自己プロデュースしているのだろう。

沖さんはそのあたりのキャラ化がうまくハマっており、それが為にありきたりだなと私は思っていた。

しかしやはり距離なのである。遠くから眺めていただけでは凡庸なキャラだなと思っていた沖さんも、メールを読んだりshowroomを見たりして、こちらから近づく努力をしたら、そういうキャラ的な輪郭とはまったく別の、沖さんでしかない人間が見えてきた。途端に解像度が上がった。やはりお金(メールなど)と時間(showroom)をかけないと見えてこない世界があるのだ。今思うと、他人を上っ面で判断するなんておこがましいにも程がありますが。

沖さんのshowroomは、生活をそのまま垂れ流しているような感じだ。まだ20歳になったばかりなのに、そこそこ働いてきた社会人、学生ではなく働く人の帰宅後の生活が配信からは感じられる。あぁ化粧落とさなきゃなとか、シャワーがめんどいとか、特に言わないけれど言ってもおかしくない雰囲気がある。showroomの画面越しの姿はそれでも見せられるプライベートだけど、そこからさらに透けてリアルな生活が沖さんからは感じられる。そこに漂う微かな疲労感が、平日の夜の空気として心地良くて好きだ。声も落ち着いていて好きだ。よく中村舞さんと一緒に配信していて、これまでビジネスパートナー的な関係だと思っていた舞Qさんとの関係は、本当に親密なのだなと改めてわかった。

去年の12月からメールも取り始めた。丁寧な文章でいつも読み応えがある。最近だと1期オーディション後の母とのやりとりを綴ったメールの静けさがとても良かった。本当に稀に沖さんが弱いところを見せても、自分の尊厳が保てるぎりぎりのラインをわきまえていると感じさせる賢さがあって好きだ。といっても私がそう感じているだけで、本人は結構あっさりと曝け出しているつもりかもしれないけれど。アイドルの弱音は時として魅力でもあるけれど、沖さんの感情表現の境界からは、他人の憐れみの対象にはならないと決意しているような強さがあって、そこ大事ですよねといつも思う。

読書が好きとか、コンプライアンスに興味があるとか、だんだんと沖さんを知りつつある。『オレンジノート』の思い出話は私もこの曲が大好きなのでグッときてしまった。Zがつく前のももクロの昔話だったらいくらだって話せるよ。私はアイドルの話す思い出話が大好きだ。佐藤七海さんや運上弘菜さんあたりよく昔話をする印象がある。その思い出の延長として今のアイドルとしての彼女達がいることの時の流れに私は感動してしまう。

申し訳ないけれど、公演では甲斐心愛さんを見るのに必死で、沖さんの記憶はあんまりない。だからといっていいのか、沖さんをアイドルというよりも、一緒に今を生きている人として見ている気がする。いや、アイドルなんだけどね。とりあえず握手したいです。会って話してみたいです。何を話せばいいのかわからないけれど話してみたいです。

沖さんに限らずだけど、一歩踏み込まないと見えてこない魅力がありますよねと、当たり障りのない距離に甘えて常に躊躇しがちな自分は自戒を込めて思う。たぶんSTU48の他のメンバーも私の知らない素晴らしさがもっとあるのだろう。もっともっと好きになる可能性がいくらでもある。それに触れるためにも、また瀬戸内に行かなければなと、船が出航するのを待っています。

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