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神戸、めくるめくミラーボール乗って

せとまいくの甲斐心愛さんは見たことがないと、思い立って神戸まで見に行ってきた。それは私にとって強く記憶に残る一日になったし、甲斐心愛さんにとっても記憶に残る一日になったのではと思う。

神戸も暑くて、地下街を這うように移動するのが精一杯だった。太陽が照りつける地上を歩いて、ポートタワーを見に行くなど論外の灼熱地獄。しかし会場のライブハウスはポートタワーの近くで、入場待ち列が暑くてつらかった。

昼公演も夜公演も2階の立ち見だったが、眺めも良くて快適だった。またそもそも2階のお客さんが少ないということもあって、開演待ち時間などものどかな雰囲気だった。

2階から見ると、甲斐心愛さんのパフォーマンスのダイナミックさがよくわかる。斜め前に踏み出すときの一歩の勢いが力強く、サバンナを生き抜く動物のようだ。

昼公演1曲目『会いたかった』の冒頭、2階の私の元まで一直線に甲斐心愛さんの視線が届いたときの、開演早々にして最高到達点みたいな感情にさせてくれた心愛さんが最高だった。

せとまいくはドラフト3期生のチームワークが良い。甲斐心愛さんと同じく瀬戸7とせとまいくの両方で活動していて、見る機会が最近多い信濃宙花さんはステージでものびのびしていて、物怖じしないトークは面白いし、徐々に気になってきている。

田中皓子さんは2階を見上げながら、珍しい人がいるといった表情をしていて、その優しさがうれしかった。

夜公演では、甲斐心愛さんがソロで『夜風の仕業』を歌った。一音ずつ丁寧に、大切に、歌う心愛さん。たくさんのアイドルが歌い継いできた曲を自分で台無しにしないように、緊張しているのが2階からもわかった。いつの間にか会場全体が真っ赤に染まって、それはマツダスタジアムのミニチュア版のようで、心愛さんは皆に愛されているなと感動した。

この夏、いちばん純朴で素直な歌が心に響いた。推しの贔屓目だとしても、素晴らしかった。歌い終わって涙が溢れる心愛さん。一生懸命練習していたことを暴露されて、涙ながらに言った「言わんでええけん」が可愛すぎて、その謙虚さにますます好きになった。

最後に歌われた『瀬戸内の声』で泣いているメンバーがいたので不安を感じていたら、挨拶で土路生優里さんからSTU48卒業の報告。久しぶりに茫然とする場面に出会ってしまった。土路生さんのメールも読んだりして、いろいろ現状に思うことがあるのはなんとなく察していたが、やはり悲しい。

お見送りでは何も言葉をかけられず、帰り道もため息が出るだけ。

好きなグループから人がどんどん辞めていくと、グループをますます信頼出来なくなる。グループを好きで追いかけていたはずなのに、誰々がいるから見に行くといった、グループからメンバー個人に興味の対象が縮小していくように意識が変わっていく。それはなんだかもの悲しい。

頑張りに頑張った大好きな人の歌を聴けて感無量だったのも束の間、沈んだ気持ちは夜行バスのシートも沈ませて、悲しいことによく眠れた。みんな幸せになってほしい。


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