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STU48と瀬戸内を巡った日記 いつも心に愛を

まずSTU48の好きなところとして私が真っ先に挙げるのは、瀬戸内の気候のように穏やかで朗らかとしている雰囲気だ。良心的なAKBオタク(とは?)ではない私の印象でしかないが、そのグループとしての立ち位置、48グループのひとつとしてそこそこ予算をかけて売ろうとしている、という周囲の思惑から外すようにとても牧歌的な印象を受ける。個人的にSTU48のマイペースさが好きだ。あまり気負ってほしくない。

もちろん握手会商法で売ったり、総選挙やリクアワもあるので競争の中で生きてはいるのだが、これまでと違った魅力で攻めるAKBがいてもいいと思う(チーム8はそうだと思うけど)。いかんせん乃木坂欅坂の次のアイドルが今の現状から生まれるかというと難しい気がすると思うのは私だけだろうか。そう書くと、アイドルを超えたアイドルというような言葉遊びになってしまいがちだが、それぞれに合ったアイドルグループとしての立ち振る舞い方があるはずで、戦わないことで輝くグループであってもよいと思う(どこかで聞いたことのあるフレーズ)。

そう思ってしまうのも、勢いはありつつもSTU48のゆるやかな雰囲気に私は癒やされているからだ。そもそもが総選挙には私はやる気を見出していないし、showroomも見れるときだけ見ようというスタンスなので、のんびりいこうぜという気持ちになっている。おそらく地理的な距離が遠いことも関係しているはずだ。遠いと何が何でも必死という感情にはなれない。STU48がたまにやるティッシュ配りなどは完全に諦めている。それでは好きになっても十二分に楽しめていないのではないかと思いがちだが、過剰な熱量を今は持ち合わせていない。

そして遠くから眺めていて、STU48は地元の人に愛されるグループとなれるよう、今は地道に努力しているように見える。東京から見ていると基本的に遠いので、あらゆることがゆったり動いているように錯覚しているだけかもしれないが、それでもその錯覚に私は癒やされている。

そうはいってもあくまでこれは私から見た印象だ。本人達は必死に頑張っているはず。平日は毎日公演、週末は握手会とこの春は大忙しだった。その他にも番組収録などたくさんあるはずだ。金曜日広島で公演、土曜日は徳島で握手会、日曜日は兵庫で握手会のときなどは大丈夫なのかなと心配したりもした。これまでの現場の少なさを取り戻すかのような過密スケジュールは成長のチャンスでもあるが、そういう忙しさで疲弊していく人達もたくさん見てきたので不安も大きかった。ちなみにその週末、私は木曜広島、金曜はSTU48を見ないで香川観光、土曜徳島、日曜兵庫と旅したが、さすがに金曜は移動日として過ごした。

公演や握手会に参加することを重ねていくと、どんどんメンバーに思い入れが生まれていき、愛着が湧いてくる。メンバーの知らなかった面を新しく知れば知るほど、他人のことは全然わからないことを痛感する。握手会で触れることが出来るのは人の心のほんの一欠片のそのまた一粒でしかない。相手をわかるなんてことは絶対にない。

それにしたって私は会話らしい会話を交わせてないことに凹みそうになるが…。

握手会に行くと間近でメンバーの顔を見られて声も聞けて幸せになれるが、公演を見てしまうとやはり私はアイドルが歌って踊る姿を見るのがいちばん好きだなという気持ちになる。ステージでの一挙手一投足は、私にとって握手会でかけてくれる言葉以上のものがある。信じるべきものはステージにあると確信できるときは幸いだ。スポットライトを浴びた少女が内から輝きだすときは祈りたくなる。STU48にもそんな美しいシーン、祈りたくなる瞬間がある。

陸上公演ではアンコールの最後に『暗闇』を歌う。『暗闇』のセンターは瀧野由美子さんだが、瀧野さんが公演メンバーにいないときは他のメンバーがセンターを務める。見たことがあるのは磯貝花音さんセンターと甲斐心愛さんセンターの『暗闇』だ。サビにおいて右手で空を求めるポーズがあるのだが、陸上公演ではショートパンツにTシャツ(ラガーシャツ)で歌うので、メンバーがギリシャ彫刻のような非常にシンボリックなものとして見えてくる。その瞬間は小さなライブハウスとは思えない荘厳さがあって、見ていて息を呑むほどだ。やんちゃでいつもは騒がしい心愛さんが『暗闇』でセンターに立つと、想像上の概念だと思っていた純真無垢という言葉が実在することを信じたくなる。本当は誰しも美しさを心の内に秘めていて、研ぎ澄まされた瞬間に輝きを放つことを『暗闇』は教えてくれる。それは瀧野さんや磯貝さんの『暗闇』でも感じるのだが、私は一際心愛さんの『暗闇』に心を惹かれる。三者三様の『暗闇』の良さがあり、言葉の枠に押し込めるのは本意ではないが、瀧野さんからは瀬戸内の持つ優しさ、磯貝さんは立ち向かう躍動感、心愛さんは誰にも侵せない少女の心、といった趣がある。

オタクはなんでも誇張して褒めがちなので許してほしい。平等で冷静な文章は要らない。

そういう神々しささえ漂う甲斐心愛さんに出会ってしまうと、握手会などでこちらが干渉するのは無粋で申し訳ないと思うようになる。オタクのいない世界ですくすく育ってほしい。私は好きになったアイドルに手紙を書きがちなのだが、いつも重くなってしまうのが悩みだ。瀬戸内遠征はとにかく移動ばかりで、私はその移動中に心愛さんへの手紙の下書きを書いたりしていた。下書きを読み返すと、やはりいろいろと背負わせすぎだったので、迷うこともなく手紙を清書することは諦めた。オタクの重い思い入れはここで全部吐き出す。難しいことはわかっているが、ファンの期待など気にしないで、アイドルは気負わずやってほしい。

甲斐心愛さんは見ていて本当に楽しい。陸上公演のステージで元気よく踊っている姿は、以前公演に全然出られなくてshowroomで悔し泣きしていたのが信じられないぐらい堂々としていて躍動感に満ちている。今いちばん成長しているメンバーだと思う。横にステップしたときの誰よりも大きく揺れるスカートにはハッとさせられるし、髪を振り乱して踊る前髪の隙間から覗く視線はいつだってかっこいい。『暗闇』の特典DVDに収録されているステージ裏の心愛さんは緊張で目が虚ろになっていたが、今の私の目に映る心愛さんは涙を乗り越えた輝きを放っていて、とてもキラキラしている。

徳島の小さなライブハウスの最前で見たとき、目の前にやってきた心愛さんと目が合い気恥ずかしくなって双方同時に笑ってしまった。くしゃっとした笑顔があまりに可愛くて、思い出しても泣きそうになる。心愛さんはたぶんそんな一瞬のことは忘れているだろう。忘れてくれていい。私が覚えているだけでいいし、たくさんの人にそういう小さくても心に残る瞬間を紡いでいってほしい。それが積もり積もってアイドルという存在になるのかもしれない。いいこと言った感じになってしまった。

私は早起きが苦手なのでSTU48のメンバーが早朝に配信するshowroomはほとんど見ていない。配信されていたことすら気付かないことも多々だ。だけど稀に朝早く起きているときに心愛さんが配信していたりするとうれしくなる。私は心愛さんが朝ご飯のパンをもぐもぐしているshowroomが大好きだ。漫画のような擬音でもぐもぐと聞こえてきそうなぐらいで、パンを頬張っている姿が本当に可愛い。眠そうな感じも可愛い。もう少し早起きを頑張ろうと思う。

続く。

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