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生成AI画像の「著作権侵害」について気をつけた方がよさそうなこと

5月30日に文化庁と内閣府が5月30日に公開した「AIと著作権の関係等について」の資料について、各所で話題に上がってます。
まだ、専門家が議論を進めている段階なので「どこまでがセーフなのか」がわかりにくい状況ですが、現段階で気をつけた方が良いだろう事について考えてみました。

公開された資料について

下記のサイトを始め、様々なメディアで取り上げられているので、詳細はそちらをご覧頂ください。

今回の資料では、「AIと著作権の関係について「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けて記載されていますので、それぞれについて考えてみたいと思います。

「AI開発・学習段階」について

今回の資料で重要に感じたのは下記の部分です

AIの学習には原則として著作権者の許諾なく利用することが可能(中略)ただし、「必要と認められる限度」を超える場合や「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は、この規定の対象とはならない。

>>詳細は元の資料をご確認ください

この部分が、生成に関する制限を指摘している点は画期的だと感じます。
この内容を考えると、世間一般に向けたサービス用としてAIの学習をさせる場合は、少なくとも著作権者の不利益になるような学習はしない方が良さそうですね。
また、違反した場合は責任がサービス提供者にあるのかが気になるところです。
少なくとも生成された画像を使用した人には責任が発生する可能性があるので、注意が必要です。

「生成・利用段階」について

こちらについては下記部分が重要だと思います。

生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる

これはつまり、通常の著作権と同様で、私的な利用は問題ないが、公開する場合は著作権への配慮が必要で有ることを意味します。
とはいえ、類似性・依拠性については、具体的な事例が出るまではどこまでがOKなのか判断が難しいところです。

試しに、いくつか画像を生成して考えてみたいと思います。
Midjouneyでプロンプトに英文で「ドラえもん」と入力すると下記のような絵が出ます。

配色が青と白だったり、猫っぽかったり、二頭身だったりとドラえもんの特徴が散見されますが、この程度であれば著作権侵害とは言われないように思います。

次に、ガンダムを試してみましょう。
英文で「ガンダム」と入力すると下記画像が出力されました

だいぶガンダムの特徴があるロボットの絵が出力されました。
右側2つは顔の造形がガンダム過ぎるので、商用での利用は難しそうです。
左側2つは既存のガンダムのデザインそのままではないので、「ガンダム」とさえ名乗らなければ大丈夫かもしれません。(念のため、似たデザインな物がないかの確認は必要だと思います)

最後に権利関係に厳しいと言われる某ネズミを試してみましょう。
英文で某ネズミの名前を英文で入力してみました……が、出力結果にモザイクをかけさせていただきました。

※実際はそのまんまのキャラクターが出力されました

……え~。。。よりにもよって、あまりにもまんまな画像が出力されました(汗)
(Midjouneyを使用されてる方はお試しいただければと思います)

AIによる画像生成では、このように元画像の特徴がそのまま出力されることがあります。
当然こちらは著作権を侵害しており、AIが生成した物であっても権利者の許諾無く使用することはできません。
画像生成AIが生成した画像でも、他者の著作権を侵害する可能性があるので注意が必要です。

ちなみに、元画像の特徴が出やすい対象には大きく下記の2パターンがあります。
・数多く学習を行った対象
・あまり学習を行わなかった対象
先程の3つの出力結果は、入力されたキーワードに関する学習を数多く行っていたために、元の絵の特徴が強く反映されています。
この場合については、一般的に良く知られている対象が出力されるので、著作権を侵害しているかどうかの判断はつきやすいと思います。

やっかいなのは「あまり学習を行わなかった対象」が出力された場合です。
あまり一般に知られていないキャラクターや特殊なシュチュエーションなど、学習頻度が少ないものをプロンプトで指定してしまうと、学習した際に使用した画像がほぼそのまま出力されてしまうことがあります。
このような場合、元の画像があるのか無いのかの判断がつきにくく、知らず知らずのうちに他者の著作権を侵害してしまう可能性あります。

そのため、「生成・利用段階」の事を考えても、著作権的に問題が無い学習を行っている画像生成AIを使用した方が良さそうです。

まとめ

画像生成AIはまだ生まれたばかりの技術なので、著作権等含め判断が難しい部分が多々あります。
個人的には、今回の資料の内容は「研究については制限したくないが、著作権の権利も守る必要がある」という両者に配慮した結果なのかなと感じました。
今回の資料を見る限り、画像生成AIのサービスを行う企業にも、著作権への配慮が必要になるかと思いますが、サービスを使用するユーザーもいらぬトラブルに巻き込まれないように注意しましょう。

生成された画像が他者の権利を侵害していないか判断がつかない場合は、「Adobe Firefly」のような著作権的に問題が無い学習を行っている画像生成AIを使用した方が良さそうです。

ただし、その場合でも他者の著作物に似た画像が生成される可能性がゼロでは無いので、ご注意ください。

また、文化庁では6月19日に、著作権法の観点から見た生成AIについて説明するセミナーを開催する予定です。関心のある方は、是非視聴されてみてはいかがでしょうか。

予約制ですので、興味がある方は忘れずにご登録を!

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