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Eclipse Shooter V2

先日公開したこちらの「 Raspberry PiとGPhoto2を使用した日食自動撮影プログラム (Eclipse Shooter)」 を大幅に改良して高速連写撮影に対応させました。


設定+撮影での速度限界

前回公開したプログラムでは、1枚ごとに撮影条件(SS, ISO, WB, Format) を指定して撮影していたので、例えば皆既中のブラケット撮影などで

・SSを 1/1000 に指定
・撮影
・SSを 1/320 に指定
・撮影
・SSを 1/100 に指定
・撮影
・SSを 1/10 に指定
・撮影
・SSを 0.3秒 に指定
・撮影
・SSを 1秒 に指定
・撮影

というシーケンスを繰り返していました。
パラメータ指定・撮影の都度にUSB通信でのタイムラグがあり、機種によって異なりますがEOS RPでテストした際には4分の皆既時間中の撮れ高は6種x16セット(合計96枚)程度でした。

Moonglow Technologies社のEclipse Orchestratorや、アストロアーツさんのエクリプスナビゲータなどでも同様に1枚ずつの撮影だと思いますので、取れ高は同程度の枚数となると思われます。

AEブラケット+高速連写の対応

今回、 AEブラケットの設定やドライブ設定(高速連写)などもGPhoto2経由で変更できるようにプログラムを組みなおして、皆既中やダイヤモンドリングの瞬間はAEブラケット+連写で撮影することができるようになりました。(EOS R3, EOS RPで動作確認)

事前にカメラでAEブラケットの段数を7段(-3段、0、プラス3段)に設定しておいて、撮影スクリプトでこのように指定すると、1回のシャッターレリーズ指示でカメラの能力MAXまでAEブラケット連写して撮影することができます。

撮影スクリプトでのブラケット指定

イベントハンドリング処理

以前公開したEclipse Shooter V1では、撮像後に次の設定を行うまでに、カメラ側の処理待ちのために機種ごとに異なるウェイトをいれてやる必要がありました。

例)筆者の手元の機種での評価結果
EOS RPの場合:1.3以上
EOS R3(メカニカルシャッター)の場合:0.7以上
EOS R3(電子シャッター)の場合:0.6以上

(旧バージョン)Eclipse Shooter V1での必要待ち時間

新しいEclipse Shooter V2では撮像後にカメラ側から送られてくるイベントを監視して、GP_EVENT_CAPTURE_COMPLETE が来るまで待機することで、撮像完了後すみやかに処理へ移ることができるようになり、機種ごとのウェイト調整や無駄な待ち時間が必要なくなりました。(EOS R3, EOS RPでのみ確認済み)

パラメータ設定も GP_EVENT_TIMEOUT のイベントを確認してから送信することでより安定して動作するようになっています。

実際の動作速度比較

V1でEOS RPを使用した撮像動作はこちら

対して V2でのテストの様子はこちら。速度が全然違います。

EOS RPでのテストで、4分間の皆既中にEclipse Shooter V1だと6種x16セット(合計96枚)だったものが、Eclipse Shooter V2だと7種x37セット(合計259枚)撮れるようになりました。

EOS R3の電子シャッターモード(最高連射速度30frame/sec)だと、同じ時間で7種(1/1000, 1/320, 1/100, 1/30, 1/10, 1/3, 1)を70セット(合計490枚)とることができます。

だいぶ余裕ができるので、最大皆既付近でもっと露出を伸ばした地球照を狙った露出も入れてみることができそう。

複数カメラを接続した際には起動時にカメラを接続できるので、1台のRaspberry Piで複数カメラの操作を行うことも可能です。

ダウンロード

Eclipse shooter V2
Releases · kiy0sh/eclipse_shooter (github.com)

(旧バージョン) Eclipse Shooter V1
Release First Release v1.0.0 · kiy0sh/eclipse_shooter (github.com)

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