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変化は突然

子が夏休みだ。そして私も、四月から九年ぶりに社会復帰していたのだが、非常勤講師の仕事なので学生の長期休暇の間はお仕事はない。ということで、こどもとの溜まった約束をひとつひとつ遂行したりしなかったりする毎日を送っている。

先日は家族で二泊三日の旅行に出かけてきた。泊まりで旅に出るのは二年ぶりだ。旅の間、在宅介護中の義母はショートステイへ行ってもらった。介護を始めた当初から、もう何回もショートステイは利用していて、これまでは何のトラブルもハプニングもなかったのだけど、今回は職員さんから、義母が車椅子を自走させて何度もドアの前に行き、「いつもは開けてくれるんだけど…」と繰り返したり、昼食時に食具を使わず手づかみで食べ、食具を使うよう促しても首を傾げるばかりで結局最後まで手で食べたと報告があった。

軽くショックを受けた。家で食事するとき、手づかみで食べることは最近増えてきてはいた。義母は脳出血の後遺症で利き手に麻痺があり、利き手ではない左手で食事しているので、フォークで刺しづらかったりする食べ物だと手で食べてしまうのだ。「食べてしまう」と書いたが、べつに少しぐらいは手で食べたっていいと思っている。自分が利き手じゃない方の手で食べろと言われたら、ずいぶん不自由なことだと思うし。ただ、こどもたちの手前もあるし、食具が使えないわけではない(むしろもともと利き手じゃない方の手で器用に使っている)ので、いったん手で食べ始めても「これ使ってくださいね~」と食具を手渡せば、受け取って何の問題もなく食べ進められる。

しかし、家以外で手づかみ食べで、しかも最後まで食事をするのは初めてのことだし、車椅子で自走して動き回るのも初めてだ。ショートステイ中の様子を職員さんが詳しく報告してくれたことによれば、その日はちょっと口の悪い他の利用者さんと義母が二人きりになる時間があったらしく、その後で自走や手づかみ食べといった行動があったらしい。おそらく何か気分を害することを言われて義母も血圧が上がったのだろう。頭に血がのぼった後で調子が悪くなることはある。いつも送迎をしてくれている職員さんにも聞いたら、件の利用者さんは口が悪いで有名らしく、人手不足など事情はあるのだろうけどできたらそういう状況を作らないでほしかった、と正直思った。

ここまで問題なくできていたことが、急にできなくなる。在宅介護生活を9年続けてきた中で、今までもそういうことはあった。その度に、もう一度日々のケアを見直し、家族の生活がつつがなく送れるよう対応する。今回もまた、介護のフェーズがまた一つ進むのかな、と思った出来事だった。来年の夏はまた旅に行けるかな。


 


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