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茄子との出逢い、骨董市にて

京都にはお寺の境内や広い公園などで定期的に開催される市がいくつもある。東寺さんでは毎月21日の弘法さん、北野天満宮では毎月25日に天神さん、下鴨神社の境内では古本まつりも開催されたりと、挙げだすとキリがない。ここ1年ほど、ちょこちょこと通うようになったのだけれど今回はじめての買い物らしい買い物をした。

場所は京都パルスプラザ。金土日と3日間開催され、今回で73回目の開催となる「京都アンティークフェア」だ。ちなみに次回の開催は6月28日から30日の3日間だそう。

会場入り口入ってすぐ、正面にはガラスのケースに入れられたキラキラしい蒔絵の印籠たち!!その点数50以上はあった気がする。圧倒されて数えることすら忘れるような迫力だった。他にも会場内には300以上ものお店がずらりと並び、とてもじゃないけどゆっくり見ていたら半日なんかではまわりきれない。

個人的には、ずっと見てみたいと思っていた人間国宝の徳田八十吉さんの作品を、思いがけずいくつも見られたことが嬉しかった。濃いのに透明感のある青を間近に、何より美術館では見られない色んな角度から、なんなら自分の手に持って見られるなんて!大興奮!

さらに他のお店では、艶やかな水色の波間に鯉の図柄の七宝が素晴らしいなぁ、とショーケースを眺めていたらお店の方が出して見せてくださった。畏れ多くて出して見せてもらうなんて考えもしなかったのだけれど、あれは直接見られて眼福でした。いやー…、凄かった…。溜め息しか出ない…。波の筋に沿って細い銀の線が1~2ミリぐらいの間隔でいくつも並んでいて、それが光の当たる角度で立体的に見えるのがもう、ほんとに!あれは美術館じゃ味わえない!大阪のあべのハルカスで開催中の「驚異の超絶技巧!展」や清水三年坂美術館で見るような、並河靖之の七宝もいくつも見せて触らせていただいた。

その後、浮足立った気分を落ち着けつつ、目当ての器や紙ものを中心に会場内をうろうろ。良い感じの器とか、やりたいなぁと思っている金継ぎに使えそうなお皿、もしくは浮世絵の花鳥か風景、ヨーロッパの博物画やら地図なんかを物色するも食指の動くものがなかったのでそろそろ撤収するかなー、と思っていたら目に飛び込んできた、棚に並ぶ「茄子」。はじめ、見たことのない形に何かなと思わせられ、思わず触りたくなるフォルムについ手に取り、ヘタが取れて香炉だとわかった。両手にずっしり。ブロンズ製なのだそうだ。最終日だからこの値段でいいよ、と言われ、ちょっと考えますと言って悩んだ末に結局連れて帰ってしまった。

香炉はずっと欲しかったし、確かに他の場所でも探してた!見たことない形だったし、もう二度と出逢えないかもしれない!ちょっといいな、と気になって見ていた同じ金額の版画は結局買わなかったけど!

箱も何もない状態だったので素性はちょっとわからないのだけれど、もう少し安価に作れる鉄製の同デザインのものがあるとお店の方からお聞きしたり、ネットで見ていると似たような七宝入りのものもあったりした。まぁ、なんにしても大事に可愛がってあげたいなと思う。「三茄子」なので、これはもうまた次回の骨董市で「一富士」と「二鷹」も揃えてあげたほうがいいかもしれない。そう思うと、テーマを決めて収集されているコレクターの方の気持ちがちょっとだけわかるような気もする。

あ。「茄子」しばりでも面白いかも。

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