漫画「ゆめみるがらくた」のはなし

6月6日発売、週刊モーニング27号、第8回「THE GATE」編集部賞受賞作。
乙川灯(おとかわあかり)さんの描いた漫画「ゆめみるがらくた」について書こうと思う。

※ネタバレあります

まず、ドロシーの表情に引き込まれる。
喜び、驚き、気づき、覚悟など。
特に、p352の「それなら 絶対に行かなければなりません」。
強さを兼ね備えた女性は、どうしてこうも美しいのだろう。

旅先の街、ショーウィンドウに映るマリアンとドロシー。
意外なほどに“家族”に見えた“家族ごっこ”の自分たち。
それを、ドロシーは「やむを得ず演じているだけ」と自制する。
アンドロイドだから?
マリアン様への気持ちを溢れさせないために?

ドロシーの戸惑いをよそに、家族旅行はクライマックスを迎える。
ひとつだけ、もしひとつだけワガママが言えるなら、ダンスシーンを見開きで見たかった。
ふたりが幸せそうに踊る表情を、人間とアンドロイドの足もとを、近くで見たかった。
それくらい、このシーンがお気に入り!

このお話のいちばん良いところは、ふたりは別れたけれども悲しみの感情で終わらせないところ。
「全く 家族のあたしにバレないとでも思ったのかしらね」。
いたずらっぽく笑うマリアンは、ドロシーの覚悟も愛もすべて受け取っている。
旅行は家族ごっこではなかった。
ふたりは家族だった。
読者が何の躊躇いもなくそう思えるエンディングをくれる漫画だった。

以上です。
めちゃくちゃ面白かったです。
乙川灯さんのあたたかい漫画をまた読めますように!
陰ながら応援しています。

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