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高尾奏音さんとBanG Dream! It's MyGO!!!!!の話

BanG Dream! といえば中村航さんの書いた原作小説がとても良く出来ていて、アニメ1期もそこそこ気に入っていた覚えがあります。2期以降は3DCGのアニメになってしまい、見る気が起きずに離れていたというのが私とバンドリの関係です。例に漏れずMyGOの1話を配信開始当時に見た時は、全編3DCGのアニメは作画特有の省略やデフォルメの表現が出来ないからあんまり嬉しくないな〜という率直な感想があり、2話からは見ていませんでした。しかし、高尾奏音さんのバースデーイベントに行き、高尾さんと林鼓子さんの対談を聞いて見ようと決意し、最終話の本放送が終わってから配信で一気に見ました。いや~~~、悔しいけど非常に良かった。久々にブシロード発の面白いアニメ見れて大満足……。

正直なところ2話からかなり好感触で、まずOPとEDがとにかく良い。アニメってOPとEDを好きにさせたらもう勝ちじゃないですか。良いOPって視聴者を物語や画面に対して真剣にさせる力があると思います。バンドアニメのセンターがボーカルだけやってたり、アニソンでは中々聞かないような歌声が響いていたり、目新しさ/キャッチーさがあってアニメへの没入を手助けしてくれていました。キャラクターの感情の起伏が大きなアニメでしたが、それを映像で伝えようという意思が画面にちゃんとあって、前述した3DCGに対する苦手意識もいつの間にか感じなくなっていました。

作品に対する印象として、物語よりも先にキャラが来るというか、端的に言えばキャラクターが生きてるアニメでした。それぞれに大事なものがあって、自分だけの生き方があって、それに従って全員が思い思いに行動することで物語になっていくアニメで、そこにあるのは生々しさでした。壊れてしまったものはもう元には戻らないし、あの頃の楽しかった日々をいくら追い求めてもそんなもの手に入らない…という残酷さがあって、傷付いたり悲しんだりするけど、悲しみは悲しみのまま受け止めて、心にしまって生きていこうとする、そんなアニメでした。豊川祥子が最後まで自身の身に起こったことを周りに打ち明けなかったことも、彼女自身の選んだ生き方であり気高さでもあり、人の人生に立ち入ることの難しさがあって、この作品の生々しさを象徴していたと思います。私はこういう都合の良くない、ありありとした現実を描いたフィクションのことが大好きだから。豊川祥子の声にならない頑張れも、力の籠った口元も、潤んだ視界も、全てが愛おしいから…。

高尾奏音さんが演じているというのも勿論ありますが豊川祥子というキャラクターがとにかく良くて、個人的にはこの作品の主人公の一人に数えてました。豊川祥子がCRYCHICを辞めてから始まった物語なのだから、最終話で豊川祥子がこの先何を思って、どう生きていくかが描かれるのは必然というか、筋が通っていると思います。自分の作ったCRYCHICの元メンバーが集まって自分抜きの『春日影』を見せ付けられて、過去の楽しかった思い出さえ辛く塗り替えられてしまった少女の「我、忘却を恐れるなかれ」の言葉に、また悲しい気持ちにさせられます。

ここからは声優オタク崩れの言葉ですが、豊川祥子を高尾奏音さんが演じたから出た味がかなりあったと思います。まず高尾さんが気高いタイプの、それも人に冷たい言葉を浴びせるお嬢様の役をやっていることにとてつもない嬉しさがあります。普段は見ない珍しい役柄だったのと、物語の雰囲気にもマッチした演技で正直この声を聞けただけで5億点でした。13話ラストシーンの「ただいま、クソ親父」を見た時は辛くて1分くらい「グギギギギ……」と声にならない呻き声を上げていましたが、演技とはいえ家族と仲良くて、なんなら1年ほど前まではお母さんに美容院に連れて行ってもらっていた人の口からこの言葉が発せられているのが信じられなくて、声優追いかけてる癖に初めて演技って凄い…と感動しました。回想シーンではカラオケのドリンクバーではしゃぐ描写があったりと、お嬢様のキャラを本物の(お風呂の栓を知らなかった)お嬢様が演じるから出る良さもあったりして、アニメ好きとしても声優の追っかけとしても十二分に楽しめたアニメでした。(高尾奏音さんにこういう役柄もっとやってほし過ぎる…!)

最高のアニメをありがとうございました…!

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