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債券について2

おはようございます。
キツネの目と申します。
本日も「債券」について記載していきます。
よかったら参考にしてください。


・債券の利率と利回り

・利率と利回りの違い


  • 利率

額面に対する1年当たりの利子の割合

  • 利回り

投資元本(購入価格)に対する収益の割合(償還益・売却益なども含む)

  • 直接利回り

投資元本(購入価格)に対して1年間に受け取る利子の割合


額面100円、利率1%、残存期間10年の債券を98円で購入した場合の利率と利回り
(解答)

利率=1%(額面100円×1%=1円)

利回り(%)=1円+(100円-98円)÷10年/98円× 100

= 1.22%

額面100円、利率1%、残存期間10年の債券を102円で購入した場合の利率と利回り
(解答)

利率=1%(額面100円×1%=1円)

利回り(%)=1円+(100円-102円)÷10年/102円× 100

= 0.78%


・債券価格と利回りの関係

債券価格   利率  利回り   関係
98円     1%    1.22%   価格が下がる 利回り上昇
100円      1%    1%
102円      1%    0.78%   価格が上がる 利回りが低下

利率が一定の場合、債券価格と利回りは逆向きに動きます。


・債券の募集、約定日、受渡日

・募集期間


新たに債券を発行する際、その申し込みを受け付ける期間を募集期間といいます。
その後、払込日に代金が一括して発行者へ払い込まれます。
債券では、払込日が債券の発行日となります。


・約定日と受渡日


債券は日々流通していて、個々の売買における約定日と受渡日があります。
約定日とは、売買が成立した日のことで、受渡日とは、決済(代金と債券の交換)を行う日のことをいいます。
通常、債券の取引では、約定日から起算して3営業日目が受渡日となります。
ただし、国債の場合は、約定日から起算して2営業日目が受渡日となります。

月曜日
債券の約定日  国債の約定日
(1営業日目) (1営業日目)

火曜日
国債の受渡日
(2営業日目)

水曜日
債券の受渡日
(3営業日目)


・発行市場


 債券を発行する場合には、発行条件を決めて投資者を募集し、投資者から代金の払い込みを得て、債券を発行するという手続きが必要です。
 こうした一連の手続きを行う場を債券の発行市場といいます。

・債券発行市場の関係者


債券の発行市場は、次の4者によって担われています。

  1. 発行者 (債券を発行し、資金を調達する者)

  2. 投資者 (債券投資により資金運用する者)

  3. 引受会社 (金融商品取引業者、銀行等金融機関)
    債券を売り出す目的で、発行者から全部または一部を取得する会社
    又は当該有価証券を取得する者がいない場合にその残部を取得する(残額引受け)契約をする会社
    引受シンジケート団:複数の会社が集まって引受けを行う

  4. 社債管理者 (銀行、信託銀行等)
    社債権者のために弁済を受ける等の業務を行う一切の権限を有する会社
    社債発行会社は原則として社債管理会社を設置する義務がある

※引受シンジケート団
地方債、政府保証債は金融機関と金融商品取引業者によって組織される。
事業債等は、金融商品取引業者のみによって組織される。


・国債の発行市場


 国債の発行方式は、市中発行方式、個人向け販売方式及び公的部門発行方式に大別されます。

・市中発行方式
公募入札
を基本とする
価格競争入札(コンベンショナル方式とダッチ方式)
コンベンショナル方式=落札者が入札した価格が発行条件となる
ダッチ方式=落札者の入札額に関わらず落札者全員が一律の発行条件となる
非競争入札
価格競争入札と同時に応募が行われ、価格競争入札の加重平均価格が発行価格になる

個人向け販売方式
個人向け国債

金融機関で一般投資家に販売される
市場性国債(新型窓口販売方式)
これまで郵便局のみで行われていた募集を一般の民間金融機関でも行えるようにしたもの

公的部門発行方式
日本銀行
による国債の引受け


・国債市場特別参加者制度(プライマリーディーラー制度)

国債の安定的な消化の促進、並びに国債市場の流動性、効率性、競争性、透明性及び安定性の維持・向上を目的として、特別な権利を与えられる代わりに一定の義務を負うプレイヤーをプライマリーディーラーと呼びます。
このプライマリーディーラーは財務大臣が指定します。

 具体的には、国債市場特別参加者懇談会に参加し財務省と直接対話することができたり、買入消却のための入札に参加できるなどの特典がある一方で、全ての国債の入札で、相応な価格で、発行予定額の4%以上の相応の額を応札することや国債流通市場に十分な流動性を提供することなどの義務を負います。


・社債の発行市場


・起債方式

社債の発行は、市場実勢に従って発行条件を決定する方法がとられています。

 例えば、格付が高い社債を中心として「スプレッド・プライシング方式」と呼ばれる手法があります。
これは、国債等の金利に対する上乗せ分(スプレッド)を提示することで、金利変化に対応すると同時に、きめ細かく投資家の需要を探ろうとする方法です。

・格付

 格付とは、発行会社の総合的な債務履行能力等(信用力)を格付機関が評価したもので、一般にAAA、AA、A、BBB…と記号で表されます。

・発行登録制度

発行登録制度とは、発行体があらかじめ証券発行予定額等を記載した発行登録書を提出しておくことにより、一定期間内は実際の発行時に改めて発行届出を行うことなく、発行が可能になる制度です。

 これにより、発行手続きが簡素化されるとともに、その一定期間内であれば有利な時期を選んで機動的に発行できることになります。


・流通市場


流通市場とは、発行された債券を売買する場のことをいいます。

 流通市場では、多くの売り手と買い手の意向を統合して売買を成立させなければなりません。
この役割を果たすのが証券会社やディーリング業務を行う登録機関であり、債券ディーラーと呼ばれます。

・取引所市場と店頭市場

債券の取引は、取引所市場における取引と店頭市場における取引に大別されます。

・取引所市場
金融商品取引所を通じて売買の注文を行う
受渡日は、原則として売買契約締結日から起算して国債取引は2営業日目、転換社債型新株予約権付社債は3営業日目。
委託取引で行われ、委託取引手数料が発生する
取引所上場債券のみ売買可能

店頭市場
投資者と債券ディラーとの相対での売買
受渡日は、当事者間の合意があれば自由
上場債券以外も取引が可能
仕切取引で、手数料は債券単価に含めて価格が決められている
相対のため価格は自由であるが、合理的に算出された時価を基準としなければならない
売買参考統計値発表制度がある(売買の参考として毎営業日発表される)

※株式の場合は取引所取引が中心ですが、債券は逆に店頭における売買が全体の99%以上を占めています。


・日銀RTGSと「債券等のフェイルの解消に関する規則」(統一慣習規則)


 RTGS(Real Time Gross Settlement)とは、即時グロス決済の略で、決済システムのリスク対策の一環として日銀が導入した決済方法です。

 従来の「時点ネット決済」では、日銀が金融機関から受け付けた「振替指図」は、一定の決済時刻までためて受取総額と支払総額の差額で決済しますが、「即時グロス決済」は、「振替指図」を受け付けると1件ごとに決済します。
これにより、RTGSでは個別決済ごとに支払い資金を用意する必要が生じます。


・金利と債券価格の関係

 


 債券の価格変動に関して、一番押さえておくべき関係は、金利との関係です。
基本的に金利が上昇すると債券の価格は下がり、金利が下降すると債券の価格は上昇します。
つまり金利と債券価格は逆向きの関係にあります。


 これは、債券の利息が固定であるため、市場金利が上昇すると相対的に債券の利息の魅力が低下するので債券価格が下落するということです。(金利下降の場合は債券の利息の魅力が相対的に上昇するので価格が上がる)


この金利と債券価格の関係を理解しておくと、そのほかの変動要因との関係も分かりやすくなります。


【景気変動との関係】

 景気上昇 → 資金需要増加 → 金利上昇 → 債券価格は下落

 景気下降 → 資金需要低下 → 金利低下 → 債券価格は上昇


【金融政策との関係】

 金融引締め → 資金供給減少 → 金利上昇 → 債券価格は下落

 金融緩和  → 資金供給増加 → 金利低下 → 債券価格は上昇


【海外金利との関係】

 海外金利上昇 → 資金流出 → 国内金利上昇 → 債券価格は下落

 海外金利下落 → 資金流入 → 国内金利低下 → 債券価格は上昇


【需給バランスとの関係】

 供給(売り)の増加 → 債券価格は下落

 需要(買い)の増加 → 債券価格は上昇


【信用リスクとの関係】

 発行体の信用力低下 → 債券価格は下落

 発行体の信用力上昇 → 債券価格は上昇


・クレジット・スプレッド

 クレジット・スプレッドとは、国債と残存年数が等しい社債の利回り格差のことです。

 通常、国債は信用力が最も高く、国債のリスクをリスクゼロとみなすと、国債の利回りと他の社債等の利回りの差が信用リスクの程度の差と言えます。
通常、信用力が低いほど引受ける(購入する)人が少なくなるので、その分高い利回りで発行する必要があります。

 したがって、発行体の信用力が上がればクレジット・スプレッドは縮小し、発行体の信用力が下がるとクレジット・スプレッドは拡大します。


・債券の価格変動リスク

債券の価格は様々な要因が影響して変動しますが、ここでは、一般的な考え方を理解しておきましょう。

 以下のように、例えば同じ発行会社の債券でも、償還期限が長いものは短いものに比べて価格変動リスクが大きくなります。
同様に表面利率が低い方が高いものに比べて価格変動リスクが高くなります。(以下同様)

 その他にも、流動性のリスクや途中償還のリスクなどがあります。


・債券の売買手法

・売切り・買切り

 債券売買の基本となるのが、単純な売切り・買切りです。
売切りとは売るだけの取引、買切りは買うだけの取引です。
売買の際の最も基本となる条件は最終利回りで、通常は売買レートと呼ばれます。


・入替売買


入替売買とは、同じ投資者が複数の銘柄の売りと買いを同時に行う方法です。
多数の債券の売買を行う際に用いられます。
保有する多数の銘柄の運用効率を上げるため、資金目的にあった構成に改善するために行われます。


【入替売買の主な目的】

  • 市況観に基づく入替

金利の低下すると考える場合は、債券価格が上がるのでより価格変動が大きい中長期債へ入れ替えるのが有利となります。
逆に金利が上昇すると考える場合は、債券価格が下がるので価格変動が小さい短期債に入れ替えるというように資産の構成を変化させます。

  • 流動性アップ入替

資金化する必要がある場合や将来の資金化に備えて、流動性が高い国債や価格変動リスクが小さい短期債に入替を行います。

  • 直利アップ入替

直利とは、債券の購入価格に対する1年間に受け取る利息の割合です。
法人などでは1年間(1期)の期間収益を重視する場合があるので、直利をアップさせるために高クーポン・レートの債券に入れ替えたりします。

  • 最終利回りアップ入替

流動性やクーポン低さをある程度犠牲にして、より高い最終利回りを獲得するために債券の構成を入れ替えます。

  • 利回り格差運用

 クーポンの高低や期間の長短などの違いにより発生する利回り格差を、その時々の状況で素早くとらえて売買することにより、運用効率をアップさせます。

  • 固定的ポートフォリオ運用

ポートフォリオの償還期限のバランスを一定に保つために、機械的に入替売買を行います。

代表的な方法にラダー型ダンベル型(バーベル型)があります。

ラダー型

 短期から長期までの債券を各年度ごとに均等に保有し、毎期、同じ満期構成を維持するポートフォリオ。


ダンベル型

流動性確保のための短期債と収益性確保のための長期債のみを保有するポートフォリオ。


・現先取引

 現先取引とは、売買に際し同種、同量の債券等を、所定期日に、所定の価格で反対売買することをあらかじめ取り決めて行う売買です。
売り手は債券を売ることによって、短期の資金調達ができ、買い手は一定期間、債券を保有することによって、その期間に応じた利回りを得られます。
 債券の利息と売買価格差の組み合わせによって、一定期間の利回りを確定してしまうやり方です。
 現先取引を行う場合は、あらかじめ顧客と契約を交わし保管する必要があります。


・着地取引

 着地取引とは、将来の一定の時期(約定日から1ヵ月以上先)に一定の条件で債券を受渡しすることを、あらかじめ取り決めて行う売買取引です。
途中、金利変動などで相場が変動しても最初に決めた約定価格で受渡しを行います。
着地取引を行う場合は、約定の都度契約を交わし保管する必要があります。


・貸借取引

債券の貸借取引とは、債券を貸し借りし、貸借料を受払いする取引のことです。
まず、債券の貸出者は、借入者に対して債券を貸し出します。


取引決済日には、借入者は債券を返却すると同時に賃借料を支払います。

上記は無担保の貸借取引のイメージです。
有担保付債券貸借取引の場合は次のようになります。



・その他の売買手法

・時間差入替


時間差入替とは、債券の売却の時期と買人の時期とが異なる入替売買です。

 単純売買と着地取引を組み合わせることによって、売りと買いの時期をずらして取引を行います。
時間差入替を行うことで、ポートフォリオの改善と短期の資金繰りの両方が可能になります。


・アキュムレーションとアモチゼーション

債券の簿価が額面を大きく下回ったり、大きく上回っていると、償還時に大きな差益や差損が一気に生じてしまいます。

 そのとき、その利益を償還時に一度に計上しないで、利息の一部とみなして、所有期間に応じて均等に分散して計上すること(利益を計上すると同時に、債券の帳簿価額をその分だけ引き上げる)をアキュムレーションといいます。

 逆にその損失を一度に計上するかわりに、所有期間に応じて均等に分散して計上すること(損失を計上すると同時に、債券の帳簿価額をその分だけ引き下げる)をアモチゼーションといいます。


・ベーシス取引

 ベーシス取引とは、債券の現物価格と先物価格の価格差で利ザヤを取る取引です。
通常、「現物価格-先物価格×CF(コンバージョンファクター)」で表します。

 理論的には現物価格と先物価格は、裁定取引を通じて一定の水準に収れんします。
しかし、実際の市場では需給関係などにより個別に値動きするため、価格差が生じます。この価格差を利用して行う取引です。


本日は以上です。
次回は「投資信託」について記載していきます。
よかったら参考にしてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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