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免疫学 4.自然免疫~ウイルス感染~

みなさんこんにちは、狐です。
今日はウイルスに感染したときの、自然免疫の流れについて見ていきました。
動画は以下からどうぞ。

https://youtu.be/2c4LKDmxdUA

板書の図もどうぞ。

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さて、ここからまとめに入ります。
今日はウイルス感染した時の自然免疫の流れについての話です。

ウイルスの侵入経路

ウイルスっていうのは細胞内で増殖するので、そもそも細胞の中に侵入しないといけません。
そしてウイルスはどんな細胞にも侵入できるわけではなく、特定の細胞にしか侵入できません。
その際に侵入口として機能するのが、細胞表面上にあるなんらかのタンパク質です。
つまり、ウイルスは自分の結合できるタンパク質を持っている細胞に出会うことができたら、その細胞の中に侵入、つまり感染することができます。

例えば、風邪ウイルスで有名な「ライノウイルス」がありますが、このウイルスはCD-54というタンパク質と結合できます。
このCD-54は気管の上皮細胞などがいっぱい持っています。
なので風邪ひいたら気管がダメージを受けます。

更に例えば、鳥インフルは人間には感染しません、とよく言いますが、これは鳥インフルと結合できるタンパク質をヒトは持ってないからです。


ウイルス感染の過程

次にウイルスがどうやって広がっていくのかを簡単に確認します。
たとえば有名な風邪ウイルスのライノウイルスが気管上皮細胞のCD-54に結合してしまったとします。
するとウイルスは自分のウイルスDNAやRNAを細胞の中に入れます。
ここではウイルスDNAを入れたとします。

するとウイルスは細胞のDNAの複製能力を乗っ取り、感染した細胞に自分のDNAを合成してもらいます。
ウイルスの殻であるタンパク質の情報は、この合成してもらったDNA上にあるので、リボソームはこのウイルスDNAの情報を元にウイルスの殻を合成していきます。
この殻の中にウイルスDNAが入ると、ウイルスが完成します。

増えたウイルスは接着結合などの結合タンパクを介して、隣の細胞に侵入していきます。


ウイルス感染に対する自然免疫

最後にウイルス感染に対する自然免疫の流れについて確認していきましょう。
最初はMφやDCなどの監視員のチェックが入ります。
つまりウイルスを貪食作用で取り込み、細胞内消化をします。

するとウイルスDNAやRNAが、マクロファージやDCの中を漂うので、貫通型TLRと結合します。

人間の場合、TLRは10種類ありますが、そのうちの3・7・8・9です。
これらは細胞膜を貫通してるタイプのTLRです。

TLRには細菌感染の時にも登場しました。
TLR2・4です
これらは細胞表面上にありました。

MφなどがTLRでウイルス感染を感知したら、IFN-αやβ(サイトカインの一種)を出します。

このIFN-αやβは色んな役割をしますが、ウイルスの複製を阻害したり、NK細胞などの殺傷能力を引き上げます。
さらにIFN-αやβは、MφやDCだけでなく、ウイルスが感染した細胞自身も出します。
ちなみに普通の細胞もTLR持っています。そのため細胞は自分がウイルス感染したかどうか、つまり自分の中にウイルスDNAがあるのかどうかの判断が可能です。

さて、こんな感じでMφやIFN-αやβで頑張りますが、これだけだと力不足です。
そのため、自然免疫ではNK細胞に助けてもらいます。

NK細胞は普段は不活性化しているので、マクロファージやDCがTNF-αやIL-12を出してNK細胞を活性化させます。
するとNK細胞は細胞傷害、つまり感染細胞を頑張って撲滅させます。

さらにNK細胞はIFN-γという物質も出します。
このIFN-γはMφを活性化させる物質です。
そのため、MφはIFN-γによりさらに活性化され、よりTNF-αやIL-12を出すようになり、NK細胞がさらに活性化するという、正のフィードバックが形成され、感染細胞の撲滅がより高速化する、という流れです。


今日の授業は以上です。
今日もお疲れ様でした。


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