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【フィールド体験記】初めてのジャングル

未知との遭遇

こんなにも自分の体内センサーをサボらせていたのか?と気付かされたのは初めてタイのジャングルに1人で入って行った時だ。テレビでみた大自然の壮大さやワクワクよりも、その時の自分には恐怖しかなかった。3週間前に大学で受けた面談時に明るく「フィールドワーク問題ありません。ヒルも気になりません」と答えてしまった自分を恨んだ。鬱蒼と茂った森の中でいろんな音が聞こえてくるが、その音を出している生き物の姿は見えてこない。全ての生き物に命を狙われているような被害妄想に陥った瞬間だった。

感覚の違い

「運が良いね」と笑顔でコメントされた時、私は就職先を間違えたぁと本気で思った。実はこの3時間前くらいに私は「仕事場」で「非常に貴重な」体験をしていたのだ。小さい頃に行った、柵のない動物園は安全が保証されているから楽しめる事をこの時に実感したと言っても過言ではない。フィールド初日、100種いる鳥の囀りや鳴き声を聞いたり、一眼でも姿を見れたらと双眼鏡を覗きこんでいた。視線を感じたのはその時だ。5mくらい先に地味な蛇の姿を確認。後悔したが後の祭り、「蛇に出会ったらどう対処するか⁈」聞いてこなかった…再び自分を恨んだタイミングだった。

自然との対峙

「正しい答えを知りたい」とこんなに強く思った事は、後にも先にもないと思えるくらい切に願った。ここからは、時間にしたら多分3分くらいだろう。でも、この時の自分には3時間位に感じた。無い脳みそをフル回転させて、どうやってこの窮地から脱走出来るのか、考えをめぐらせた。5m先にいる蛇を毒蛇だと仮定して、アタックを避けられるかは分からないけど背中は見せないと決めた。だが、ヒルとパーソナルスペースをとりたかった私は倒木に座っていたのだ。生きた心地がしないまま、立ち上がった私に対して、間違いなくコブラだというメッセージを地味な蛇が派手に送ってきたのはこの瞬間だ。コブラもドッキリしたのかもしれないが、私の心臓もこれまでにないくらい脈打っていた。アドレナリン・ハイな私は、ひたすら、危害を加えるつもりがない事を念じ続けタイミングを待つしか無かった。コブラもそそり立つ戦闘体制のままバックして行く姿は今でも鮮明に思い出せる。これが私の自然との対峙エピソードのひとつだ。

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