大塚海渡騎手が師匠の木村哲也調教師をパワハラで提訴

美浦所属の大塚海渡騎手が、師匠の木村哲也調教師から過去に度重なる暴力を受けたとして、茨城県警稲敷警察署に提出した被害届が1月5日に受理されたと、大塚騎手の父で勢司和浩厩舎の調教助手の哲郎氏と代理人の高倉太郎弁護士が、1月12日にオンライン記者会見で明らかにしました。

大塚海渡(おおつかかいと)騎手は2000年10月25日生まれ、茨城県出身の20歳。
2019年3月に競馬学校騎手課程35期生としてデビューし、翌月4月7日に初勝利を挙げました。

しかし、厩舎実習期間中から2019年12月25日までの間に頭部を殴打される暴力が10件あり、大塚騎手が日時等を明確に記憶している2件について、被害届を提出したということです。
木村師が手を出したのは教育目的であり、パワーハラスメントに該当する事案ではないと主張したことで提訴に踏み切ったと、高倉弁護士は述べています。
850万円余の損害賠償を求めた民事訴訟も既に提訴しており、第1回口頭弁論が1月20日に水戸地方裁判所土浦支部で開廷される予定です。

大塚騎手は、昨年2020年1月5日の中山7Rでの落馬で頭部外傷を負い、1週間ほど意識不明の状態に陥りました。
右頭部の慢性硬膜下血腫の悪化で昨年1年を棒に振っていましたが、年明けから筋力トレーニングと乗馬を開始し、復帰に向けてリハビリ中の段階だそうです。

JRA報道室は「係争中であることは把握していますが、警察による捜査中の事案でもあるので、現時点ではコメントを差し控えたい」と述べていますが、完全に木村師は潔白であると擁護する姿勢にわたしは映りました。
この事件を、他の騎手始め厩舎関係者は見て見ぬ振りをしていないでしょうか。

この事件について、わたしは父にシェアしておきました。
大塚騎手は落馬で重傷を負う以前から木村師に暴力やパワハラを受け続けていました。
厩舎実習の段階からどの調教師に師事するかによって、後の競馬人生をも大きく左右しかねない訳です。
言うまでもなく、暴力を振るった側は都合よく自分の悪行を忘れますが、暴力を振るわれた側は記憶が鮮明に残り、トラウマに終生襲われるのです。
暴力は暴力そのものなのであり、「躾」だの「愛の鞭」だのという言い分は本来は一切通用しません。

この訴訟の行方は、日本競馬の教育の側面を根底から問う深刻な問題として、わたしたちファンの側も受け止めなければなりません。
下世話な話かもしれませんが、この訴訟の報道を受け、木村厩舎の管理馬の馬券を今後買わないと決意する者も増えるでしょう。

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