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オールスパイス

 鳥もも肉を買ってきた。唐揚げにしようと思ったが、普段と趣向を変えてフライドチキンを作ってみることにした。どこが違うのかといったら、唐揚げは肉に味をつける料理で、フライドチキンは衣に味をつける料理らしい。

 作ろうと思ったレシピでは、フライドチキンの衣の材料に「オールスパイス」というものが入っていた。名前は聞いたことがあるが、今まで使ったことがない。多分、家にない。名前から察するにスパイスミックスのようなものだろうか。

 違った。シナモン、クローブ、ナツメグをミックスしたような香りの香辛料らしい。オールという割には3種類である。この3種類が香辛料界の3大巨塔なのだろうか。なかなか大きく出たなシナモン達よ。
 オールスパイスはフトモモ科の植物の実らしい。なんで「太腿」なのかといつも耳を疑うが、中国名の「プータオ(蒲桃)」からきているらしい。どっちにしろピンとこない。フトモモ科の植物は、ユーカリ、ティーツリー、クローブなど香りが良いものが多いらしいということがわかった。オールスパイスもクローブも親戚だったか。

 もしオールスパイスがなければ、この3種類のスパイスをミックスして使ってもいいらしい。オールスパイスの存在価値とは。ともあれ、代用できるというのはありがたいことだ。

 今回衣で使うので、粉の状態で必要である。シナモンはパウダーで持っていたが、クローブとナツメグはそれぞれ粒の状態のホールでしか持っていない。近所のコンビニに万が一オールスパイスがあったらラッキーだと思って行ってみた。やっぱり無かった。ナツメグのパウダーだけあったので買ってきた。
 小さなすり鉢があるので、クローブをすり潰そうとした。一応潰れはするものの、粉にするには難しい。知らなかった、クローブはかなり硬い。諦めて滅多に使わないミキサーのミル機能を使って粉砕した。今までの苦労はなんだったのだろうか。ものの数秒で粉々である。

 唐揚げと違って、厚みを出さないように肉をカットする。その分、唐揚げより短い時間で揚がる。カットした肉を卵と牛乳を混ぜた液に臭み消しで漬け込んだ後、前述のスパイスと小麦粉、塩胡椒と顆粒コンソメを混ぜた衣をまぶして、油で揚げれば出来上がりだ。

 初めて作ってみたにしては好評だった。揚げ時間が短いので、水分もあまり飛ばずにジューシーに仕上がった。今後は唐揚げに飽きたらフライドチキンという選択肢も選べるようになった。チャレンジするものだ。

 今度スーパーに行ったらオールスパイスを買っておこうと思う。いまのところフライドチキン以外の用途はわからない。

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