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続・朝顔の種

 朝顔の鉢を持って帰ってください、と小学校からお知らせが来た。支柱が高くて危ないので、保護者が持って帰るように、と。

 他の鉢が花をつけている中、長男の鉢は緑一色だった。とはいえ蔓は伸び葉も繁っているので、栄養剤をあげて蕾を待つことにした。家で育てている朝顔と一緒に。

 家の朝顔は蔓が伸びていない、ということに持ち帰ってきた鉢を見て、初めて気がついた。
 比較対象があって初めてわかるものもある。家の朝顔はなかなか芽が出なかったので、ゆっくり育っているのだと思ってやきもきもしなかった。高さが15センチくらいだけれど、そのうち伸びるだろうと思って、鉢に支柱を立てて待っていた。
 長男はほかの鉢に花が咲いているのを見て、何を思っていただろうか。もちろん聞かないとわからない。

 栄養剤をあげてから2日後、朝顔が咲いていた。家で育てていた方が、である。蔓が伸びている、と思っていたものは蕾だったらしい。
 地上15センチ余りの場所に唐突に咲く朝顔を、初めて見た。
 学校から帰ってきた鉢は、まだ蕾をつけていない。

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