第3次世界大戦の武器は分かりません。しかし、第4次世界大戦の武器は…

「guano! guano!」
 皆が一斉にテントから外に飛び出した。見張のファレルが西を見ているということは、東に向かって走ればいい。天蓋の下の2台の車を持ち上げ、車体を東に向けた。
 遠くの空に小さく点が見えて来た。
「すごいな」
 ブルーはつぶやいた。自分も見張りをしているから耳には自信があったが、ファレル程ではない。
「ブルー、行くぞ」
 助手席のバートに言われて、慌ててブルーは運転席に乗り込んだ。今日、後ろにいるのはビッグスとベイツだ。
「まず北に15度で向かう。100kmで走って、俺が合図したら、また真東だ」
「わかった」
 エンジンをかけると一発で起動した。北に15度で100kmか。遅くはないだろうか。いや、でも、バートを信じるしかない。
 飛行機のエンジン音が確実に近づいている。早く出たい。天蓋は砂漠の色に紛れて見えないようになっているとはいえ、爆撃されたらひとたまりもない。緊張で手が震える。
「よし!」
 車を発進させた。今日は一段とガタガタ言う気がする。スピードが思ったほど上がらない。ここで焦ってはいけない、敵もまだ気づいていないのだから。25,26,27,28,29,30。
「東!」
 東に車を向ける。55,56,57,58,59,60。
「来るぞ!」
 ベイツが叫んだ。いよいよエンジンの音が迫ってくる。スピードを上げながら飛行機から落ちてくる爆弾を避けなければならない。ここからが腕の見せ所だ。ブルーは唇を噛み締めた。75,76,77,78.78,78,78,78から上がらない、頼む。
「左!」
 左にハンドルを切る。ドスっ! と音がして爆弾が落ちる。だいぶ遠くだ。
「右!」
 今度は近い。相手の腕はどうだろう。スピードは…やっと82。
「ストップ!」
 急ブレーキを踏む。車の鼻先にバラバラっ! と爆弾が落ち、そのまま飛行機は飛んで行った。
「はあ、はあ…」
 全員、肩で息をついた。
「今回はそれほどでも無かったな」
「出るのが遅かったか?」
「いや、そうでもないはずだ。相手も手持ちが少ないに違いない。さあ、拾って帰ろう」
 車を降りて爆弾のところへ行き、拾う。
「これは…クズ煉瓦だ」
 ベイツが吐き捨てるように言って放り出した。そのまま、煉瓦はボロボロと崩れていった。
 戦争はまだ続いている。しかし、もう、物は残っていなかった。お互いに残った建材を投げ合うしか、もはやできなかった。
「しょっぺえなあ」

guano/鳥のフン

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