お告げ 〜三狐〜 🔒
眠りから覚めてみれば タキも妾も幽身で
何があったのかもわからないまま
タキの眷属達と 敦賀で玉を探す日々
玉を失くしてから どのくらい時が過ぎたのでしょう
魂の欠片を名乗る 穂小津姫まで 現れて
妾は 本当はもう
消えて 終わりにしたいですか?
宇迦之御魂さまの コロコロと 笑うような涼しげな聲
妾が 永遠を授けた玉
それを失くした あの日から
貴方の命は 刻を 刻みはじめました
一片の狸玉で 命の刻が 止まる訳もなく
あの夏の夜
傷ついた其方の肉体と御霊を
タキが 残された 狸玉に匿った
私は一度…
だから穂小津姫が目覚めてしまったのですか
肉体の癒える刻も いまは知れず
次に玉の朽ちる時 こそ 穂小津姫と黄泉へ
タキは玉をふたつとも私のために…
ではタキの御霊は…今
タキを護るは 白蛟の玉
タキが 白き大蛇を 平らげたことがあろう?
どうやってあの大蛇を丸呑みできたのか
タキも驚いていましたが 食いしん坊な狸の術かと…
クスリと 微かな笑い声
傷ついた白蛟の
その今際の際に現れた 玉袋の空いた狸
白蛟は 癒えた後も タキの中に鎮まり
あの夜 玉も肉体も失くしたタキに
白蛟の玉を遺し
天へと幽れて 往きました
吾に もう心残りはない と呟きて
いつだったか ニンゲンから救った
幼い白蛇達の姿が 頭をよぎりました
またいつ割れるとも 知れぬ狸の玉に
肉体も持たぬ 幽身を
すぐに終わらせたいですか? それとも…
急に小さくなる聲に 慌てて
この玉の タキのくれたこの命が尽きるまで 失くした玉を探します
そして タキに玉を返します 必ず 必ず ですからまだ
そこで目が覚めました
夢であって 欲しいけど
いつか わたしの玉を 取り戻せて
タキに この玉ひとつを返しても タキは…
何もいえない 何もかわらない
最新のお話はTwitterで進んでいますが、 振り返れるようにnoteでまとめ記事にしています。