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穂小津姫 -ホオズキ-

うつし世に 御魂の生まれ落ちる時
黄泉比良坂に 落ちる 小さきカケラ
カケラは 静かに 眠り待つ
御魂を迎える その刹那まで
ーーー
黄泉へ向かう 幾億の御魂を 
見送り 七十余年 
貴女の御魂を 独り 待ちました
私は 貴女のカケラ 穂小津姫
此度 うつし世に 通じること叶いました
三狐さま 黄泉へ参りましょう

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穂小津姫は 少し怪訝な顔をして
何故 狸の玉にお隠れになるのですか
狸よ 三狐さまの御魂を 玉より解き放ち給え と言った後
吟味するように しばらく 三狐とタキを見つめました
ふたりが 玉からでて 天にも還れないでいると わかったのか
三狐さまの御魂 未だうつし世に在り 何故 …
と混乱した様子で うなだれました
ーーー
三狐の 魂のカケラであるという 穂小津姫は
三狐の魂が 天に還るときに
黄泉へ導く お迎えのような存在
目覚めてから 待てどもこない 三狐の魂を待ち続け 
確かめに 来てみれば その魂は未だ玉に護られていて…
自身が何のために目覚めたのか?と自問しているようでした
ーーー
私は 貴女の御魂のカケラ
自分に言い聞かせるように つぶやくと
時の来るまで お待ちします
そう言い 眩しい光が差し込んだと思うと 
三狐とタキは 目を醒ましました 
ーーー
三狐の魂が 天へ還る時に 目覚めるはずの 穂小津姫を
タキは信じることができませんでした
不憫に思った狸むすめは、穂小津姫を匿いました。

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