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穂小津姫 -弐-

狸むすめちゃんが行き場のない穂小津姫を匿ってしばらくした
日曜の朝、狸むすめちゃんは穂小津姫をよろしくと動画を残して
敦賀を離れて京都へ旅立ちました。

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そして入れ替わりで敦賀にきた妹の狸子(りこ)から
穂小津姫はタキの望みでこの世に来た と伝言され
タキは思い出しました。七夕にかけた願いを。

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三狐さまを黄泉へ導くようなお迎えの者を望んだわけではないけれど🍃
三狐さまの魂を70年以上も待ちわびた穂小津姫に、
魂はまだ現世にとどまっているという現実をつきつけて
希望を絶ち、存在意義を見失わせたのもタキなのですね…ごめんなさい。
そう言い終わると
お稲荷さまの声が聞こえ、三狐と穂小津姫の気配が消えてしました。

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その夜、ふたりは戻ってきましたが丸一日眠った後にようやく目を覚ましました。「戻ってこれて良かったです♪」三狐が頭に浮かべた言葉を、穂小津姫が先に口にしました。"アッ"と穂小津姫と三狐は顔を見合わせ互いにまだつながっている事を感じてクスッと笑いました。

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タキはどうしてふたりが笑ったのかわからず不思議そうな顔をしました。
三狐は「心配かけてゴメンなさい。もう遅い時間だから…穂小津姫またお話ししましょうね♪」そう言って三狐とタキは狸子の家をあとにしました。

<穂小津姫と三狐:異世界の敦賀で>
ふたりが消えた先は一見、敦賀と変わらないものの
入鹿魚(イルカ)の神の加護する世界でした。
穂小津姫は三狐の中に居て、ひとりの巫女となっていて
いつしか互いの意思を自然に感じられるようになって行きました。
そんなある日、三狐が金崎宮の境内を掃いていると、風鈴の音が鳴り響き
目の前に苺のような赤い髪の童女が現れました。

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迷子だと思った三狐はしばらく境内を一緒に歩きながら誰かいないか探しましたが誰も見当たりません。そうして本殿前の鳥居をくぐったとたん目の前にみかんのような髪の娘が現れて、戻ってこれて良かったね♪と言いました。

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次に三狐と穂小津姫が目覚めたのは狸子の部屋でした。
入鹿魚の神の世界で穂小津姫は三狐の言葉をしっかりと感じ取れるようになっていました。「これから穂小津姫には三狐さまの口寄せに応えてもらわないといけないのですからしっかり鍛錬してくださいね」そう言って
タキは穂小津姫に三狐の声となるようにお願いしました。
それはタキの七夕の願いを叶えるものでもありました。

そして穂小津姫と三狐は口寄せの鍛錬を日々重ね、そばにいれば言葉だけでなく同じ所作もできるようになりました。
「異世界でひとつだったからか魂のカケラだからか…すごいです🍃」
さすがのタキも穂小津姫を認めざるを得ませんでした。

これで京都に行ってしまった狸むすめちゃんにも安心してもらえますね♪



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