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10年後を考える

*この記事は2022年10月にyoutubeキツネラジオにて放送したものです。

中尾:
久しぶりに旭川に行きました。
 
澁澤:
もっと寒いかと思ったら、そうでもなかったですね。でも旭岳は真っ白でしたね。
 
中尾:
その前の東京が寒すぎましたからね。
すっかり紅葉も進んでいましたね。ツリバナの紅葉がピンク色になるんですよ。あのピンクの紅葉を見ると北海道だなあと私は思うんですけど。
 
澁澤:
なかなかマニアックですね。ツリバナ良いですね。淡い色で。
全く色気がないまちなかに紅葉がものすごく映えますよね。
 
中尾:
そして、空気が澄んでいるので空が青くて、とても気持の良い一日でした。
実はまちづくりのワークショップとシンポジウムが二日間にわたってあったんですよね。
 
澁澤:
はい。私と中尾さんが絵本作家のあべ弘士さんとかわうそ倶楽部というNPOを立ち上げてまちづくりに取り組んだのが、ちょうど震災の時でしたから2011年でしたから、あれから11年経って、10年ぶりにまちづくりをもう一度見直そうということでした。充実した2日間でしたね。
 
中尾:
そうでしたね。感動したのは、ワークショップを開催するにあたり、10年前に私たちが「リ・デザインプロジェクト」といって、もう一度まちをデザインしよう!というのを始めた時に、その当時の皆さんでワークショップを開いた時の新聞があるんですけど、こんな街になればよいな~とみんなで描いたものがこの10年でほとんどその通りになってるんです。
 
澁澤:
そうですね。本当にそうなっていました。びっくりしましたね。
 
中尾:
それに驚いた現地の進行役の女性が、これからさらに10年後をもう一回みんなで描きなおそうと、ワークショップをしたんですけど、ほとんど新しい人でしたよね。感動しました。
 
澁澤:
そうですね~。若くなって。
10年先なんて、たぶんこれを聴かれている皆さんは、そんなことわかりゃしない、明日のこともわからないのに、10年先なんて生きてるかどうかわからないよと思われる方がほとんどかもしれませんけど、10年って、10年後にちゃんと結果が出てくるんですよね。
中尾:
あっという間でしたね。
 
澁澤:
10年後の未来って、今日これを聴かれている一人一人の頭の中にある「10年後ってこんな感じかな~」というのが、たぶんその通りになるんでしょうね。
 
中尾:
そうなんでしょうね。
面白かったのは、もちろん商店街が行っているので、お店なんだけど、もう大概のものは持っていると。何を買いたい、何屋さんが欲しいかというのもあるけど、それよりも「人」だというんですよ。
 
渋沢:
やっぱり日本は豊かなんですよね。物はこれ以上いらないと。
 
中尾;
ここに来たらあの人に会えるとか、子供たちをここに連れてきたいとか、娘とおしゃれして歩きたいとか、イイことだなあと思いました。
 
渋沢:
日本全国かもしれませんね。Z世代と言われている人たち、まあZ世代とくくっちゃうこと自体昭和的ですけど、モノに対する執着が薄れて、それよりも人とつながっていたいとか、子供たちとこんな環境でつながっていたいとか、自然と一緒にこういうことをやりたいというような、「つながり」だとか「関係性」だとかいう言葉がとても大切にされるようになった10年ですね。
 
中尾:
そうですね。みんな、これから自分が生きていく環境をどう整えるかとか、そこに誰といるかとか、ちゃんと考えるようになったかもしれません。
 
渋沢:
なにが幸せかということを一歩、考えるようになったのかもしれませんね。
ちょうど今回このシンポジウムとワークショップがあるので、行く前にさらっとネットで幸せそうだと言われている国はどのくらい人口がいて、どのくらいの広さなのか、世間一般で言われる幸福度というのがどれくらいか調べてみたんですよ。
皆さんご存知のフィンランド、世界一幸福度が高いというムーミンの国です。あの国は北海道とほぼ同じ人口なんです。面積は日本より少し大きいくらい。それで世界一幸せと思っています。
同じようにイギリス連邦のアイルランドという国がありますが、広さは北海道とほぼ一緒。人口はフィンランドより少し少ないくらいですから北海道より若干少ないくらい。所得はフィンランドの倍あります。GDPは。それで幸福度は16位だったんです。北海道は、日本でしか統計は出ていませんけど、日本は世界の中で60何位です。日本の中の25番目が北海道ですから、まあ日本の平均点ですよね。ということを考えると、どこを目指すのだろうかと考えます。
日本の政府はアイルランドを目指すべきだと今でも思っています。つまりGDPを上げることが国民の幸せにつながるのだと、ほとんどの役人も政治家も信じて疑わないと思います。だけど、アイルランドとフィンランド、どこが違うのかということを冷静に考えてみると、北海道はやはり幸福度を目指した方が良い場所だと僕は思っているのです。
フィンランドの人たちは何が幸せなのか。例えば夕方の5時になったら必ず家に帰りますよね。そして食事は必ず家族でします。しかも対面でします。日本みたいに孤食ということはほぼありません。
そういうような生活、働き方だとか子育て、みんなで子供を育てる。それは国の制度が手厚いということもあります。それからいくつになっても大学はタダで入れます。だけどそれはヨーロッパの他の国でもそういうような制度はあります。そういうトータルなもので人間は幸せを感じる。先ほど言ったように、人と人とのつながりがどのくらいあるかとか、次の世代をどういう風に育てているか、世代間のつながりがどうか、自然がどのくらいあるか、それは何も北海道だけではなくて、日本の皆さんが住まわれている場所を、もう一度足元を見てみる…そんなことを逆に教えられましたね。
 
中尾:
そうですね。シンポジウムには旭川出身の杉村太蔵さんも参加されていましたけど、彼はとても熱く語っておられましたね。
幸福度ということを彼なりにすごく考えていらっしゃって、北海道とか自分の生まれた土地がどういう場所かということをものすごく調べておられました。
 
渋沢:
テレビだとどっちかというと、テレビが望んでいるということもあってか、おちゃらけたイメージをもっていましたけど、とても大人でとてもまじめで紳士で、情熱的に話をされていましたね。
旭川のまちづくりに、ずいぶんご自身のタレントとして稼いだもので投資をされて、自分の生まれ故郷のために空き物件などを買われて再開発をご自身のお金でされたり、単なる店舗を再開発するのではなくて、真ん中に広場をつくって、何もお金を生まないんだけど、いろんな人がダンスの発表会をやったり、盆踊りをやったり、子供たちを芝生で遊ばせたりとか、それが重要だと思ってやってきたんだけど、なかなか理解してくれる人が少ないという話をされていましたね。
 
中尾:
そうなの。私たちがまちづくりしていた時に一番やりたかったのが盆踊りなんですけど、この場所でやりたいというところは全部道路許可が必要なところばかりで、実現しなかったけど、彼はそこを買ったことでいとも簡単に実現しちゃったんですよ。嬉しすぎました。よくぞ今になってこの方が来てくれたと思って、私はとても嬉しかったです。
 
渋沢:
日本の道路制度って面白いです。みんな悪気があってやっているわけではないんですよ。街並みというのは皆の共通財産のはずですよね。
例えばヨーロッパに行ったら、カフェの前には当たり前のようにイスやテーブルが出ていて、外で食べる飲食の代金の方がカフェの中で食べるよりも高く設定されているのですが、それでも外側からお客さんは埋まっていきます。
日本の場合は、外側はどちらかというと警察がちゃんと管理しなければいけない、県や国がちゃんと管理しなければいけない、何かあった時には責任はそっち側ですよと今の法律はなっているわけです。
日本人自体は店の奥から埋まっていくんですよ。ハウステンボスや私の経験では。
 
中尾;
そうですね。だけど、コロナでみんな外に席をつくるカフェが増えたじゃないですか。すごくうれしいです。
 
渋沢:
そうね、この10年でずいぶん変わりましたね。これからの10年はもっとよく変わるかもしれませんね。
 
中尾:
進歩を感じますね。
ちゃんと受け継がれてさらにその先へと、20人のワークショップに、30代、40代の男性が多く参加してくれてうれしかったですね。
結構地域づくりとかまちづくりというと女性が多くないですか?
 
渋沢:
そういうことに敏感なのは女性ですから、どこへ行っても地域づくりというと若い女性が中心というところが圧倒的に多くなりました。
 
中尾:
ですよね。とても新鮮で、今回はエネルギーを感じました。
 
渋沢:
だけど結構Uターンで帰ってきたとか、Iターンで入ってきたという若い男の子がとても謙虚で良い感性で良かったです。
 
中尾:
本当に!楽しみですね。

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