車シロウトの新車購入記 ep1:2つの教訓
●鯉党はマツダ車しか眼中にありません
唐突に思えるかもしれないが、筆者は広島東洋カープのファンである。しかしこのカミングアウトは車を買うという連載趣旨から飛躍していない。
広島東洋カープの「東洋」とは東洋工業、つまり現在のマツダの旧社名である。カープは市民球場ではあるが、MAZDAとの関係は深い。本拠地の愛称は「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」だし、オーナー一族はかつてのマツダ創業者一族である。なお、マツダスタジアムの正式名称は「広島市民球場」なことは意外に知られていない(はず)。
そのため、車を買うならマツダ。色は当然に赤。これはもう遥か昔から決まっている。ただ、中古で買うか新車を買うか。これが問題だ。まあいずれにしても試乗してみないことには判断もつくまい。したがってまず向かったのはマツダのディーラーである。事前にWebサイトからマツダ2とCX-30の試乗を予約して向かった。
●子か? 孫か?
ディーラーと聞くと、筆者のようなみすぼらしい人間がおいそれと踏み入れると、歯牙にもかけられないイメージがある。そのためその日は目一杯のおめかしをして、まともな服を着て唇を引き締めて向かった。ただし乗り込んでいるのは20数年モノの年季の込んだ小さな小さなコペンである。ちぐはぐだ。
まず驚いたのが、ディーラーの位置が分かりにくかったこと。幹線道路沿いにあるのでまあ分かるだろうと気を抜いていたら、あやうく通り過ぎかけた。「気を抜いていたら」と書いたが、反対に緊張していたのだろう。
ディーラーに到着する前にハプニングもあった。幹線道路を走っていると、後ろにサイドカー付きのバイクがつけてきたのだ。そして、それがおそらく我が家のご近所さん。運転者はご近所さんのお父さんで、後ろには二人乗りでおそらく奥さん。そしてサイドカーにいるのが、子どもなのか孫なのか。ってかふつうサイドカーつけるならバイクに二人乗りしなくない?
「うーん、孫か?」と思ってバックミラーに目を凝らすも、見る角度によっては壮年に見えなくもない。そもそもサイドカーバージョンのご近所さんが、そうそう後ろにつけてくるかね。とか考えていると、スタジオマリオに入っていった。「じゃあ孫だったか! いや、でも壮年にも見えたんだよなあ」そんなことを考えていたのでディーラーを通過しかけた、というのもある。
ディーラーに車を止めると、まずスタッフがいきなり車に接近してきた。「貴様らみたいなものが新車を買えると思うなよ!」といわれるのかと思い、ひとまず仲間だと示すために今年のカープの開幕予想スタメンを組み立ててアピールしようとしたが、杞憂だった。単に迎えに来てくれたのだ。
担当は自分よりよっぽど若いであろう女性スタッフ。バリバリの営業マンに圧をかけられるよりはこちらのことを話しやすいかもしれない、こう思う自分はもう悪質なおっさんである。室内に案内されてコーヒーを頼むと、簡単なアンケートに回答して、さっそく試乗。
●マツダ2、CX-30に試乗
これが良くなかった。いや、車は良かった。まずマツダ2。モデルチェンジでフロントの顔が気に食わない形に変化していたが、SPORTというグレードは違和感がなく、マツダらしい顔つきなのでこちらに試乗した。思ったよりも後部座席は狭さがないし、入った瞬間のインテリアの高級感もよろしい。ちょっとトランクが狭いかな、という程度。コンパクトカーだと思ってナメていた。
良くなかったのは担当の方が試乗にオトモしてくれることである。生業がタクシー運転手でもないので、見ず知らずの人間を車に乗せた経験など当然にない。何なら友人を乗せるときにも緊張するくらいで、しかもディーラーのピッカピカの車。万が一ぶつけたら、一体どうなっちゃうんだ。トムブラウン布川ばりの疑問と緊張を抱き運転したため、マジでほとんど何も覚えていない。「あ、レンタカーでよく乗るヤリスよりハンドル重たいな」くらい。
その後に運転したCX-30もいわずもがなである。マツダ2よりも大きいのでよっぽど緊張した。こちらも、意外とマツダ2と比較して後部座席の余裕があまりないこと、地面の衝撃が思ったよりも感じることくらいしか覚えていない。
従って、これから初めて車を買うためにディーラーなりに行く人は、当たり前のように担当者さんが乗り込んでくることを念頭に置いた方が良い。これは大きな教訓である。
●価格交渉は「その日買う」場合じゃないと不可能
そうこうして室内に戻って見積もり。いきなり価格交渉が始まるのかと思っていたが、どうもその日に買う意思表示をしないと、カタログ価格からの値引き額は教えてくれないらしい。これは困った。だったらいろんなディーラーをまわって、最後にマツダに来るべきだったじゃないか。これも教訓である。もし第一希望の車種・メーカーがある方は、方々をまわって最後にお目当てのディーラーに向かうことを推奨する。
もちろん数百万円の買い物をいきなりその場で決めるほど胆力も財力もないので、退散。帰ってYouTubeでいろんな車比較動画を漁り、次のディーラーへ備えた。
さて、次回はどのように車種を絞っていったのか。そして、その他のディーラーはどこへ行ったのか、などをお届けする。
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