見出し画像

ウマメシ放浪記 秩父名物、豚みそ丼の名店「ちんばた」(埼玉県秩父市)

新車を購入して、今の車・コペンともお別れ。別れを惜しんで秩父にちょっくら行き、以前から目を付けていた店「ちんばた」で昼飯を食べてきた。期待で高まったハードルを悠々超えてきたので、筆者指定「ウマメシ」店と認定して、本記事を書く。

秩父の名物「豚みそ丼」

埼玉・秩父は、都心からのアクセスもそこまで悪くなく、池袋からは電車1本でふらっと行ける。自然豊かな観光地として知られ、羊山公園の芝桜に、神社系のパワースポットなどが人気である。

こういう場所はたいがい蕎麦でお茶を濁しがちだが、秩父はじゃがいもを揚げて味噌ダレをかけた「味噌ポテト」にでっかいトンカツ「わらじカツ」、「ホルモン」といったうまいものが豊富だ。今回お邪魔した「ちんばた」の名物である「豚みそ丼」も、その一つである。

豚みそ丼とは味噌漬けした豚肉を焼いて、丼にした、その名の通りな潔いメニュー。狩猟したジビエを味噌漬けで保存していたことがルーツらしい。絶対にうまい。去年、秩父近辺でキャンプした際に行こうとしたとところ、駐車場が埋まっていて入れなかった。コペンの引退ランとして、秩父に行きがてらリベンジを果たさんと向かった。

20分前到着で第1巡入店権、確保

秩父の街中からちょっとのぼったところに、ちんばたはある。11時オープンに対して筆者が到着したのは10時40分ごろ。天気予報によると不安定な天候が予想されたこともあってか、先客は女性2人の1組のみ。これはラッキーである。繁盛店は1周目で入れるかどうかで待ち時間が大きく変わる。1巡目は確定した。


駐車場から市街地を見下ろす

風もあり寒いので車中で待っていると、後続の車がいくつか入ってきた。万が一店の前に並ぶ人が出始めて1巡目から外れたら困るので、外に出て軒先で待つ。どんどんと人が増えて11時のオープン時には、15人くらいは待っていたと思う。

11時になると、入り口がガラガラと開き、店主らしき壮年男性が出てきた。よし、やっと入れる。そう思ったのもつかの間、男性は険しい顔つきで、並ぶ我々を一瞥だにせず、「そんなに大股で歩く?」と感じるくらいにずんぐりずんぐりどこかへ歩き去っていった。

あっけに取られていると、若年女性が出てきて店内へといざなってくれた。

和食に酒に、大充実のメニュー

店内は、テーブルが4~5席、座敷が3~4卓ほどだっただろうか、そこまで広くはない。古民家な感じで、レジ横には秩父生まれの名品ウイスキー「イチローズ・モルト」のキープボトルがずらっと並んでいる。

1巡目で入店できても、メニューに迷っていると他の人たちが続々と注文して、結局めちゃくちゃ待つ、そんなことは結構あるのだが、この店は入店した順番を堅固に守って注文をとってくれてありがたい。筆者はかつてファミレスで何を食らうか迷いすぎて親に「早くメニュー決めろ」とキレられたことがある。一人でファミレスに行って、30分メニューをにらみ続けたこともある。

頼んだのは「豚みそ丼」の並盛と、味噌ポテト。あと気になったので、埼玉県下で唯一の銘柄鶏である「タマシャモ」の炭火焼き。その他にもから揚げやら天ぷらやら旨そうな和食メニューが目白押しだ。卓上に七輪を持ってきてくれて、そこで焼きながら食べる、そんな体験もできるらしい。

アルコールも異様に充実している。日本酒だけとっても、そんなに詳しくない筆者でも知っている「而今」「八仙」「くどき上手」「飛露喜」「十四代」などがズラリ。ええやんええやん。

ああ

注文して10分弱ほどだっただろうか。まずはタマシャモの炭火焼き。1000円にしては若干寂しく感じるが、味は文句なし。やわらか~いブロイラーで甘やかされた顎を試される――というほどではないが、地鶏らしい歯ごたえを感じる。付属している柚子胡椒が凶暴なまでに塩辛かったので、つけずに食べる。塩を振っていると思うので、これで十分。

お次がメインの豚みそ丼。可能であれば味噌ポテトを先に持ってきてほしかったが、しょうがない。豚を一口食べると、丁寧な下処理がされているのであろう、非常に柔らかい。噛んだ際の“ほどけ具合”が完璧である。炭火焼きによる香りもたまらない。甘すぎず塩辛すぎず、とはいえちょっと塩分強めな味付けによって、瞬く間にコメが減っていく。

手前がハーフ、奥が並

このコメも、旨かった。粒立ちが良く、味噌漬けした豚を焼いた肉汁や味噌に負けない。やや芯残りな感もあるアルデンテな炊き加減で、固めが好きな筆者は魅せられた。

幸いにして完食の前に味噌ポテトも到着。分厚い柔らかめの衣と、ほくほくに調理されたじゃがいもの相性に疑いなし。こちらはやや甘めで、確か500円がとこだったので、箸休めにちょうどいい一品だ。

ミソーポッテーと葉物野菜

味わいつつもあっという間に平らげて、入店待ちも多かろうと思ってそそくさと会計へ。11時に出現した壮年男性が一生懸命に厨房で焼台と向き合っていた。

店を出ると、案の定10人強が寒空の下で待機していた。ちなみに「ちんばた」は漢字で書くと「亭端」らしい。

余談:ちんばたへの道中で寄ったスポット

道の駅 果樹公園あしがくぼ

パンやおにぎりなど、手製の総菜や弁当が豊富だった。

パン工房パンジャ(埼玉県入間市)

正確には道中ではなく、寄り道で。パン1つ当たり結構な値段だが、何でもうまい。おすすめはチーズとアンチョビとにんにくのピザと、レーズンパン。カフェも併設している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?