見出し画像

「カラノショウジョ」シリーズを終えて

4月ごろから始めた「カラノショウジョ」シリーズ(殻ノ少女、虚ノ少女、天ノ少女)。本当に素晴らしいゲームだったので感想を少し書いていこうと思います。ネタバレ有。

1.殻ノ少女について


なんとなく気になってDLSITEで「殻ノ少女」を購入。よくお買い物していたので4000円くらいで買えた。ウイルスバスターにかかるので殻ノ少女だけ外しておく必要があります。
この作品の魅力と聞かれて、まず思い浮かぶのは「音楽」「美術」。タイトル画面がマジで良くてこんなに長くタイトルにいたことはないんじゃないかなってくらい固まっていた。今までやったノベルゲーで一番いいタイトル画面だと思う。次に、ゲームシステムがこれまではみたことがないタイプで手帳機能がとにかく便利だった。登場人物が多いゲームだから結構名前を忘れてしまいがち。推理パートも本当の探偵みたいで楽しかったですね。後々難しさに頭を抱えることになるのだが…。
そして美しい絵から繰り出されるグロくて救いのない展開には驚かされた。まさかとじこが死ぬなんてよ…。あとは冬子周りの展開があまりにもきつすぎて悲しかった、、、。TRUEよりバッドエンドのほうがいいんじゃないか、と思った(ただあれだと葛城がすぐ再行動するかもしれない)。途中からは「どうかこれ以上酷い展開にならないでくれ」と祈っていた。ただ殻ノ少女、想像できるところのギリギリをつく薄暗い展開が上手すぎる。本当にショッキングな場面が多かった。心臓の弱い方にはおすすめしない。
とにかく重くてビターな物語だったがそこには間違いない美しさもあり、独特な世界観があった。間違いなく名作である。

2.虚ノ少女について


自分は不安だった。あれだけクオリティの高かった殻の続編である「虚ノ少女」がつまらなかったらどうしようと。正直物語はほとんど終わったといってもいい。一体これ以上なにをしようというのか。
全然そんなことはなく、めちゃくちゃ面白かった。シナリオでいえばこっちのほうが好きかもしれない。砂月のトリックやそれぞれの登場人物の出生が明らかになっていくところはあまりの面白さに唸ってしまった。後は新しく追加されたキャラクターがとてもよかった。真崎の絶妙に抜けた男感がすごく現実味があって好き。少し逸れるが、冬見と真崎が再会するんだけどこう運命の出会いみたいな感じじゃなくあっさりとさせる演出とか、そのあとの関係性がたまらなく好きなんですよね。そりゃああの時はお互い好きだったかもしれないけど、もう時間があまりにも過ぎてしまっていて。。
八木沼は「殻ノ少女」だとなんか嫌味ったらしい急に出てきたやつ、みたいな印象を受けたけど、「虚ノ少女」では夏目さん、玲人にいじられいい塩梅になっている。ただ気障なだけじゃなくて彼なりのやさしさを感じられるシーンも多々あってかなり好きな人物となった。
そしてやはりこの作品の最も素晴らしいところはラストシーンだろう。諏〇部ボイスによる玲人の号哭からのEDからのあのタイトル画面はもう泣かせにきとる。でも本当に冬子が見つかって自分はよかったと安堵した。ずっと見つからなければ彼はずっととらわれていただろうから。

3.天ノ少女について


カラノショウジョシリーズの最終作品。これはパッケージ版を購入。めちゃくちゃ綺麗で美しいのでできたらパッケージで買ったほうがいい。自分は後悔している。ここに来るまでにこの物語は「キャラクター」がとにかく魅力的だな、と感じつつあった。決して長くはないシナリオでここまでうまく掘り下げられるのは凄いなと。そんなキャラクターたちに「終わり」をもたらすことはできるのかと思いながらプレイした今作だったが本当に素晴らしかった。ラストシーンはマジで泣いた。あれはもうずるやん。井之頭公園行きてえ。
6年後編にはいったときの衝撃ですよね。大きくなった佐東さんが凛々しくて凛々しくて…。紫が昆虫の研究室に所属しているのは意外だった。てっきり働くものかとなんとなく思っていたので。でもあんなおしとやかで可愛くて昆虫の話をアツくして語ってくれる女の子いたら周りの男の子たち絶対気が狂うわ。それこそ偏執だわ。。「天ノ少女」は絵がとにかく綺麗、もはや芸術の領域に突入していてどのシーンも神がかっていた。
シナリオも前半はかなり良かった。前園さんかなり好きだった。後半の事件はまあって感じだけどグランドエンドとTRUEが良すぎたので全然気にならなかった。八木沼が死ななくて俺は本当に…。六識命は自分のなかで忘れられない名悪役だった。かっこいい。彼についてだけで一本くらい書きたい気分である。

このADVは、それこそ自分がこの作品に偏執するのではないかと思わせるぐらいの力があった。これを制作したイノグレには感謝しかない。

3つを比べた個人的評価としては
殻ノ少女は「偏執(パラノイア)」をテーマとしたサイコミステリとしては最も優れた作品のように思えた。音楽もこれが一番だろう。
虚ノ少女は「真崎」「時坂」の2視点で追うボリューム溢れるシナリオが魅力のように感じた。キャラクターの掘り方も素晴らしい。
天ノ少女は美しい絵が魅力の一つである。登場人物たちの進む先をきれいに描き切ったという点で最後として文句のない作品に仕上がっている。ラストシーンは間違いなくこの作品が一番。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?