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閉店間際に

飲食店でバイト経験のある人なら誰でも共感していただけると思うのだが、閉店間際に来店する客には殺意を覚える。
せっかく今日の終わりが見えてきて、片付けモードに入ったのに、いつ帰るとも知らないお客さんのために用意をしなければならない。ただご飯を食べたくて来店したお客さんが、自分を邪魔する仇に見えてくるものだ。

しかし大人になって、閉店間際にお店に行く側になることが出てきた。


バイトをしていた経験があるので、閉店間際にお店に押しかけてわざわざ食事を用意してもらうことへの引目はどうやったって感じる。
さらに、普段ならもっと接客態度の良いであろう店員さんの、少しブスッとした様子も手に取るように分かる。
しかしながら、そのことが分かってもなおこの店にきたということは、それなりの理由があるということも、くる側になって始めた分かった。

例えば、最近はジャンキーな食べ物ばかりを食べていて、不健康な生活を送っているからどうしても和食屋さんでヘルシーな食べ物を食べたかった人などである。
そもそもそんな遅い時間に食事をしているのだから、何かしら訳があるし、そのわけも遊んでいたからなんて人ばかりではないということが分かった。

ではこの、閉店間際に押しかけた客について、店側も客側も気持ちよく食事を終えるためには何が必要なのだろう。

試しに、閉店時間には帰りますカードを作ってみたらどうだろうか。
店員サイドがお客にガッカリする理由の一つが、閉店時間が伸びてしまうことにある。つまり、入ってきたお客さんが閉店時間までに帰らないことを心配してウンザリしているのだ。
だから、閉店時間までには帰るということをしてきました、と証明できるカードを作ったらどうだろうか。
そうすれば、入ってきたお客さんによって閉店時間が遅くなり勤務時間が長くなる可能性が低くなる訳だから、店員さんもお客さんをより暖かく迎えてくれるだろう。

しかしながらこれには問題がある。それは、いっぱいの証明がある人の人格を疑いたくなるからだ。これはどういうことかというと、証明をたくさん持っている人は、閉店間際に店に来店している頻度が高いということである。つまり、証明を持っている人ほど、店側としては迷惑な客であるということになるので、いくら早く帰ることが分かっていたとしてもお客に優しくなりたいとは思わせないのである。

そこで提案したいのが”フレックス閉店時間”だ。
飲食店の悩みとして、店員の稼働率の問題がある。それは、お客さんが少数だけ入っているがために、店を閉めることはできず店員を仕事のないまま稼働させ続けないといけないという状態が起きてしまう。
これはお客にとっても精神的によくない。というのは、私だけのために申し訳ないなと感じる人が多いため、料理を本来通り楽しむことができないからだ。

これは店員一人当たりの来店数の数が少なくなってしまうことに起因している。だからこそ、一定の時間をすぎてからは、〇〇人を店内の客数が下回り次第閉店にするという”フレックス閉店時間”を導入してみてはいかがだろうか。

そうすれば、店員の稼働率は高い状態のみを切り出すことができてコストをカットできる上、客側も申し訳なさを感じずに有意義な食事をすることができるのではないだろうか。