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少年よ、マングローブへ行け

こんにちは。
北里アクアリウムラボ15期の小林です。

先日、魚に関する海外の文献をスマホで読むために、書類を撮影して保存しようとしたのですが、データ容量が大きすぎてアプリが落ち、600枚近くの書類データが全て消し飛んでしまいました。すっごく気分が沈んでいますが、悲しんでも失った時間と書類データは帰ってきません。
なので、ブログくらいは楽しく書いていきたいと思います。

さて、今回のブログでは北里アクアリウムラボの展示の一つ、「マングローブ水槽」についてご紹介しようと思います。

今回の主役、マングローブ水槽

そもそもマングローブってなんだと思いますか?もしかして、マングローブという名前の植物があると思ってる方も多いのではないでしょうか?
国際マングローブ生態系協会によれば、
熱帯、亜熱帯の河口など、潮の満ち干の影響を受ける場所に生育する植物の総称」
と説明されています。つまりマングローブは植物の名前ではなく、特定の条件を満たした複数の植物の総称なのです。なんとややこしい。
そして、そのようなマングローブに含まれる植物で構成される場所を「マングローブ林」と呼ぶわけです。

当館でも、マングローブ林を構成する植物の一つ、「オヒルギ」を展示しています。まだ小さいですが、汽水(海水と淡水が入り混じった水)に浸かっていても全く問題なく、塩分耐性の高さを実感させられます。

マングローブ水槽のオヒルギ


でもやっぱりみなさんの想像するマングローブの植物といえば、根っこが露出していて、まるで木が上から引っ張り上げられたかのような姿ですよね?あの特徴的な根は、生き物にとっては外敵などから姿を隠すには好都合らしく、多くの生き物にとっての隠れ家になっています。

石垣島で撮影したヤエヤマヒルギ

なので、お次はそんなマングローブの周辺に住んでいる、マングローブ水槽の魚達をご紹介しましょう!

①オニボラ

マングローブ水槽のオニボラ


主に鹿児島県や沖縄県に生息する、黒い胸鰭が特徴的なボラの一種です。黒い鰭をツンと上に向け、マングローブ水槽手前を泳いでいるため、お客さんからの人気の高い子です。実はまだ、当館の個体は小さい子供なんです。大人になると、なんと50センチにもなる大きい魚なんです。まさに「オニ」の名に恥じない迫力を身につけます。
オニやばいですねぇ。

②インコハゼ

岩陰からひょっこり、マングローブ水槽のインコハゼ


主に奄美大島から南の南西諸島に住む、ハゼの一種です。そのぬぼーとした、ちょっと間抜けな顔を見ていると、なんだか笑顔になってしまいます。えへへ
ちなみにインコハゼという和名ですが、何が由来かよくわかっていないようです。言われてみれば、どこにインコ要素があるのか、あんまりわかりませんね。

③ジャノメハゼ

マングローブ水槽のジャノメハゼ


主に奄美大島から南の南西諸島に住む、ノコギリハゼの一種です。「蛇の目(じゃのめ)」の名の通り、尾鰭の近くに大きな目のような黒い黒斑があるのが特徴です。意外と遠くから見るとどっちが頭か一瞬、わからなくなることがあります。実はこの子はマングローブ林の河口にしかいない珍しい種類の子なんです。
鼻の先から伸びてる前鼻管がキュートです。鼻毛が伸びてるみたいとか、言わないでくださいね。

鼻先の前鼻管がキュート

④ハスジマハゼ

頭ひょっこり、マングローブ水槽のハスジマハゼ


主に沖縄県に住むハゼの一種です。「なんか、他の2匹のハゼに比べてちっちゃいし地味…」とか思った方はもったいないです!ハスジマハゼには星空のように綺麗な青い点々模様があるんです!目を凝らせば、複雑な体色と青い点の数々に感動すること間違いなしです。
ちなみにこの子だけ、サテライトという小さな水槽で隔離されているのには理由があります。この子は小さいので、ジャノメハゼに食べられてしまう可能性があるからです。
この世は所詮、弱肉強食なのです。

⑤ヒメツバメウオ

マングローブ水槽のヒメツバメウオ


主にインド洋、西部太平洋域に住む魚です。銀色の体に黄色い鰭とギンギラ眩しい魚です。沖縄美ら海水族館のホームページでの紹介では、マングローブ域では、最も代表的な魚として紹介されています。
ヒメツバメウオという名前で、ツバメウオの仲間っぽいですが、実は姿が似ているだけでつけられた名前で、実際はそんな近い仲間ではないそうです。
ツバメウオ人気にあやかろうとか、別にそういうわけではないと思いますよ。

ツバメウオ(引用元:美ら海水族館”美ら海図鑑” )

いかがだったでしょうか?南の島々にある、特殊な環境と、特殊な生き物達。正直マングローブの魅力はこのブログの解説では、1%も伝えられていません。このラボの展示で興味を持っていただき、実際に沖縄に行って、自分の目でマングローブ林を見て、調べて、体験してみましょう!!

では、私は書類の撮影に戻ります。

北里アクアリウムラボは
予約不要・入館料無料です。
なお、団体のお客様は事前申込制となっております。
・希望日時
・代表者氏名
・人数
・電話番号
をご確認の上、海洋生命科学部事務室学生課(042-778-7919)へお電話にて
お申し込みください。
開館時間は平日(10:00〜16:00)となっています。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

引用文献
・国際マングローブ生態系協会「マングローブとは?」http://mangrove.or.jp/subpage/about_mangroves.html


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