♪ 漂い人 月が出たよだ 里には明かりが灯りだすのよ さあ 長居はできぬさ 成らぬ定めの形見の口づけ いつのことだろう そっと眼(まなこ)を閉じる かもめの群れのはぐれ者よ! お前さん何をよすがに飛ぶ 山の峠の栃の木に休みて暫(しば)し語らった彼奴(あやつ)は 達者ぞや 脚の痛みもこの時だけは なりを潜めるような夕焼け かあさまの笑う顔のよう… かもめの群れのはぐれ者よ! お前さん何を寄る辺に飛ぶ 雲のように千切れては またつながって 千切れ