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アイドルとともに生きるということ

私はジャニオタとよばれる生き物である。

とは言っても、追いかけているのはひとつのグループだけなので
正確には「ジャニーズのオタク」ではないのですが。

10年以上前、
私は新卒で入った職場で接客による対人恐怖症となり
一年半で退職しました。

さいわい貯金があったため、
家にひき篭もり、なにもしない、できない日々が数ヶ月続きました。
あまりのストレスでテレビも見れなかったのです。
本当になにをしていたのか記憶が無い。

そんなある日の夜中、たまたま、
なぜだかわからないけれどついていたテレビのバラエティ番組で
まだまだ駆け出しのアイドルの彼らが
それこそ身体を張って、笑いを取っていた。

あははは。

それを見て、私は笑った。
なに、この兄ちゃんたちおもしろいな。
そして気づいた。

あ、テレビっておもしろいんだな。

ああ、私って、まだ笑えたんだな。

そこからなにかが戻ってきて、徐々に社会復帰することができました。
持っていなかった運転免許証を取りに行き、
バイトを始め、転職して、今は再び接客業についています。

廃人だった自分を引き上げてくれたのは、間違いなくあの晩の、アイドルたちでした。
そして私は彼らを追うようになるのです。

なにに対しても頑張っている姿、
もっとより良くあろうと、もがき、悩んでいる姿、
そんな「完璧な王子様ではない」ところがきっと良くて、
応援したいと素直に思えました。

だけど、テレビの中でおどけるのとは180度違う、
コンサートのステージの上で見せてくれる眩いきらめき。
それは抗いようのない「生命力」の美しさ。

コンサートを見ているあいだ、
くだらないプライドも
まっくらな未来への絶望も
手に入らなかった過去への執着も
逃げ出したい現実も
すべて忘れて、
ただの女の子に戻って
アイドルのきらきらに溺れることができた。

降ってくるきらきらの切れ端を少しいただくと、
自分のどうしようもない、なにも持たない人生すら
「どこかに希望があるのかもしれない」と
何度も何度も、上を向いて星を探す勇気をもらえた。

駆け出しだった彼らが、いつの間にかドームツアーが定番となり、テレビでレギュラー番組を持つようになって
それでもコンサートへ行けば
「この人たちは本気で、ファンの私たちを驚かせて期待以上のものを提供しようと思っているんだな」と実感させてくれて
あー!!最高を更新してきやがった!!!
と、毎年ばかみたいに同じ感想を持ってしまうのです。

それから、長年あまり折り合いの良くなかった母(生粋のヤンチャ顔イケメン好き)とも
ジャニーズの話題により打ち解け
毎年いっしょにコンサートに遠征旅行をする仲となりました。
一生、親孝行などすることはないと思っていた。

彼らに会いたくて、様々な街に行きました。
旅行など、学校の行事くらいでしか経験がなく興味もなかった私ですが
アイドルのおかげで多くの土地へ行き、観光を楽しむことができました。

年に一度か二度、母と旅行し、彼らのコンサートを見て
その土地のおいしいご飯を食べて、観光をする。

おかげで、どれだけ人生が豊かになったか知れません。

私はディズニーランドに行ったことが、本当に数える程しかありません。
子どものころ、友達がみんな家族でディズニーへ遊びに行っているのが羨ましかった。
夢の国は私には縁のない世界だった。

大人になってやっと夢の国にたどり着けた。
それが私にとってのアイドルなのかもしれない。


だけど、この世に永遠はない。


すべてのものは、いつか終わる。


ずっとそこに在ると思っていた
目印の星がある日、遠くに流れていってしまうこともある。

星がいつか燃え尽きてしまって
世界がまっくらになる日は必ず来る。

だから、いまこの瞬間を大切に生きねばいけないのだ。
後悔のないように、
会いたい人に会えるときに会って、
ちゃんとありがとうを伝えて、
さようならを言う覚悟も常に心の隅に持ちながら。

それでもいつまでも、きらきらに憧れていたいと願うのよ。
もっとババアになっても、ジャニオタでいたいのよ。

私の人生を振り返るとき、ずっとあなたたちが居る。
恋ではないし当然ともだちでもない。
だけど、勝手に一緒に歩いてきたよ。

これからも。

15周年おめでとう。

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