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ライフステージに適う的確で再現性のある骨盤矯正を女性たちへ

「骨盤矯正」という言葉が世間に浸透してしばらく経ちます。私がこの道に入った15年前はまさに初期骨盤矯正ブームでした。当時は骨盤矯正ってお尻がキュッとして痩せやすくなるんでしょ⁉︎といった骨盤矯正=美容目的色が濃かったと思いますし、私自身そんな目的で技術を習得したい!と思ったように記憶しています。

そして現在、多くの施設でメニューのひとつとして定着し、特に産後の必要性は広く認識され、骨盤矯正はとても身近になった印象です。

一方、一セラピストとして多くの女性の矯正施術に携わってきた15年後の今の私が、「骨盤矯正」を通して見えることは当初とだいぶ変わりました。

骨盤矯正の真の目的ってなんだと思いますか?

私たちの治療院は「女性専用」です。

ジェンダー(社会的な性差)はもっとフラットになるべきと願っていますが、身体的な性差は確実にあるので、私たちは女性に特化した施術をおこなっています。

特に骨盤は性差がわかりやすい部位です。

例えば、骨盤の全体の形は男性はハート形、女性は楕円形。閉鎖口と呼ばれる穴の形も男性は卵形、女性は三角形。骨盤腔(内性器をおさめるスペース)は男性は狭く漏斗系、女性は広く円筒形だったりします。

何より、女性の骨盤は月経周期でゆるんだりこわばったりの変化を繰り返します。なので、身体の使い方(姿勢)を間違えると偏位しやすく、妊娠〜出産を可能にするため腹圧(お腹の中を押し広げる力)に弱く、男性よりも骨盤が拡がりやすい、という特徴があります。


女性の思春期(約8〜19歳)は初潮と共に始まります。若いほど子宮口が狭く、プロスタグランジンという痛みを物質が多く分泌されるため、生理痛で悩まされることが多いです。
また、脚の筋力が未発達な児童期からの膝の使い方のクセにより、骨盤前傾位が定着し始めます。すると骨盤内を走行する腸腰筋の緊張が始まり、腰痛や股関節痛、むくみや冷えの原因となっていきます。
そして気をつけなくてはいけないのは、寛骨(骨盤の左右対の大きな骨)がまだ腸骨、坐骨、恥骨の3つに分かれ、軟骨で結合されている状態であるということです。
なので思春期は、骨盤内の過度な緊張緩和と前傾偏位の予防が主なテーマとなり、不安定さを考慮した圧と刺激でおこなっていかなければなりません。

そして成熟期(約20〜45歳)。
前述の3つの骨は癒合して1つの寛骨となり、月経周期も安定して、心身ともに活気にあふれる時期なのですが、仕事や結婚、妊娠、出産、子育てなどライフスタイルの変化によるさまざまな不調が出やすくなります。

職種によっては日常的に同じ姿勢をとり続けるので、症状が慢性化します。特に座りっぱなしは骨盤の坐骨(お尻の骨)を拡げますし、ヒールを履き続けることで反り腰(骨盤前傾位)を強めます。となると、内臓下垂や内性器の位置の偏位が起こり、血流が悪くなってしまいます。
そんな中、結婚、妊娠、出産、育児などのタイミングで骨盤由来の不調に初めて気づくことがあります。また、妊娠〜出産による人生最大の変化を骨盤自体も経験することもあります。
そんな成熟期でテーマとなるのは、骨盤内環境を整えていくこと。さらに妊娠〜出産による内圧変化にスムーズに対応し、産後は腹部の深層筋からつながる骨盤底筋群の修復が命題になります。

次は更年期(約46〜55歳)です。
閉経を迎えるためホルモンバランスが崩れ、心身ともに不調が出やすい時期です。筋力の低下により内臓下垂が進み、エストロゲンの減少で代謝も落ちるため、特に下腹部に脂肪がつきやすく腹圧が高まり、骨盤底筋が使いにくくなり、尿もれが起きることもあります。卵巣や子宮の機能が停止するため、血流が悪くなり、骨盤全体が拡がりを持ったまま、こわばり始めます。
更年期の骨盤矯正は、まず腹圧を下げ、骨盤内の血流の手助けをし、関節のこわばりに対してアプローチをしていくことが必要で、それらが更年期の不調の軽減につながっていきます。

 
最後に老年期(約60歳前後〜)です。
エストロゲンの分泌がほとんど無くなり、骨密度がガクンと低下します。また体幹と脚の筋力が弱くなり、骨盤が後傾してしまう特徴があります。また、脚を拡げていないと身体が支えられず、骨盤下口部がより拡がり、それによる股関節の偏位も目立ち、立ち歩きすらままならなくなることもあります。
老年期の骨盤矯正は骨盤周囲の筋肉を使いやすくすることを重視します。骨の脆さを考慮し、強い力を絶対にかけず動かしやすさを出すことで、筋力を少しでも発揮できるように促すことが大切です。

、、、とここまで各ステージにおける骨盤矯正のテーマを述べてきましたが、実はここからが本題です!(長いことお読みいただきありがとうございます😂笑)

大前提として、身体に対しての「矯正」という言葉は、拘縮(こうしゅく:かたまって動きが制限されること)による関節可動域の改善に対しておこなわれる手技のことを指します。

そして骨盤矯正の歴史は、骨盤にある唯一の関節である「仙腸関節」の可動が認知されたことに始まります(以前は不動とされていました)。

骨盤を構成する唯一の関節「仙腸関節」は、強固な靭帯で覆われていて、その上に付いている筋肉はごく薄いので、体表から靭帯の状態を触知できます。ココが個人的に素晴らしい(?)ポイント✨と思っています。

なぜなら、靭帯って自力でコントロールしにくい組織だからです。筋肉はトレーニングやストレッチなどでセルフケアできますが、靭帯は鍛えられないし、伸び過ぎたり切れたりすると自然には元に戻らない不可逆的な組織なので、ごまかしが効かずその人のありのままの状態を計り知れるバロメーターなのです。

少しでも骨盤の2つの骨(仙骨と寛骨)の位置関係(つまり仙腸関節)が偏位すると、それらを繋いでいる靭帯は硬くなったりこわばったりします。

例えば右の寛骨(腸骨)が傾いたままだと右の後仙腸靭帯の上部が特にひっぱられて硬くなりますし、左の寛骨(坐骨)が拡がったままだと左の仙結節靭帯の下部がひっぱられて硬くなっています。そこからその人の身体の使い方のクセがわかります。

それと、靭帯は膠原(こうげん)線維であり、膠原線維の原料はコラーゲンで、コラーゲンの生成は女性ホルモンの代表格エストロゲンと密接に関わっているため、靭帯は生理周期やライフステージによって、その感触に変化が起こる部分でもあるのです。

例えば妊娠〜出産直後は仙腸関節まわりの靭帯はしなやかさがマックスですが、産後1ヶ月も経てばだんだんとこわばり始めますし、更年期以降はさらにこわばり、ごわごわとした感触になります。

女性の骨盤矯正はライフステージによりテーマはさまざまですが、全ステージに共通する目的はひとつ。

各ステージの外因や内因に対処し、骨盤の位置と可動の偏りを整え、仙腸関節まわりの靭帯のしなやかさ(思春期〜成熟期)、なめらかさ(更年期〜老年期)を再現することなのだと考えています。

ところでなんですが、、、なのに私の治療院には「骨盤矯正」というコースがありません😅

骨盤矯正は全身コースの中に組み込まれています。骨盤矯正だけをおこなわないのには理由があります。

その理由はまた次回、、、👋

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