ドライブインなみま|小説 ミックスジュース編
自分の抜け殻を見たような気がした。空蝉の硬質な殻の内側は、がらんどうになっているような。
透明な管に繋がれた私は四角い窓の外を見ている。青々と茂る葉を揺らして夏が網戸の網目を滑り抜けて私の頬や額や髪と接触した刹那、何が爆ぜる匂いがした。それはマッチを擦った時のような化合物の刺激的な匂いだった。私の鼻腔を突き抜け脳みそへ到達すると、それがトリガーとなり、着火された瞬間のオレンジ色の炎がぶわっと上がるときの小さな興奮が胸の奥を攫う。何度かスンスンと鼻を鳴らして、再度、その匂いと