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【超繁忙期!】春の繁殖シーズン①出産編

こんにちは。

20代後半で脱OLし、
競走馬の生産牧場に転職して
夫と出会い、競走馬の生産牧場を営んでいる
北のいち牧婦のゆきじです。
(元はただの競馬ファンでした。笑)


先日、最後のお産が終わりました。
仔馬も元気です。(^^)

5月も半ばを過ぎると、繁殖シーズンも終わりに近づきます。

ですが、最近は温暖化の影響なのかなかなかとまりが悪くまだまだ馬運車が走っています。

「とまる」とは、「妊娠する、受胎する」という意味です。

繁殖期の馬産地は馬運車がたくさん走っています。

静内(新ひだか町)に桜を見に来られたことのある方はご存知かもしれませんね。

静内(新ひだか町)の二十間道路の桜並木は桜の名所で、
5月頭の見頃の時は、毎年道内各地や本州(!)ナンバーの車が花見に来ていました。

さて、何故馬運車がたくさん走っているのか。

繁殖牝馬を乗せて、各種馬場へ種付けに向かうからです。

まずは、春の繁殖シーズンについて
「出産」までご紹介します。


🐴馬の繁殖期

馬の繁殖期は1年に1シーズン、春のみです。

春といっても、馬のお産が始まるのは早いところで1月中頃~です。
(新春ですね^^;)

馬の妊娠期間はおよそ11ヶ月です。

例えば、4月8日に種付けして受胎(妊娠)したら
次の年の3月8日が予定日となるので分かりやすいですね。

1月〜種付けが終わる6月がおよその馬の繁殖シーズンです。


🐴寝ずの番

繁殖牝馬は、お産が近くなると監視カメラ付きのお産馬房に移ります。
牧場にもよりますが、普段入っている所よりもちょっと広めの馬房です。
(監視カメラ付きのちょっと広めの馬房が割り当てられるみたいな。)

昼間は放牧して、夕方お産馬房に帰ってきます。

そして、牧場の人間が自宅または宿直室のような別室のモニターで見守ります。

昼間は仕事をしながら放牧地にいる馬の様子を確認して、
夜、2人で交代しながら寝ずの番をします。

分娩が始まるまで基本の日常仕事に加え、繁殖牝馬が発情したら種付けに連れていく。そういった生活が続きます。

そのため、繁殖シーズンの牧場の人たちは寝不足です。

夜中に馬のお産があって、午前中に別の馬の種付けがあるなんてこともざらです。

うちでも、
種付けに行く直前に別の馬のお産が始まり、てんやわんやだったこともありました。
(超安産で破水後すぐに産まれてくれたので、種付けには無事間に合いました。汗)


🐴いよいよ産まれる!

いよいよお産間近になると、
母馬の乳頭に初乳が滲み出て固まったものが付きます。

これを、業界用語で「ヤニがつく」と言います。

ヤニが付いたら、その日のうちか1週間以内にはほぼ確実に産みます。

陣痛が始まると、前がき(前肢で地面を引っ掻くしぐさ)をしたり、
落ち着きなく馬房内をぐるぐる旋回したり、
立っていられずに横になったりを繰り返します。

始まったら、
破水する前に厩舎にとんでいきます。

破水したら、早い馬では直ぐに仔馬の前肢が出てきてあっという間に分娩(出産)します。

必要な場合はお産介助に入り、母馬のいきみに合わせて仔馬の足を引っ張ったりもします。

仔馬が産まれたら直ぐに、へその緒を消毒して切ります。

汚れた敷きわらを、出せる所は出して新しいのを入れます。(仔馬が汚れないようにするため)

胎盤(後産)が完全に下りたら、母馬に気をつけながらサッと回収します。

仔馬が産まれたあとも、気が抜けません。

胎便が出たか?

自分で立ち上がれるか?

初乳を飲んだか?

この3つが確認できるまでゆっくり休めないのです。

胎便がちゃんと出ないと、胎便停滞になったりして仔馬がとても苦しがります。

引き続き、モニターで見守ります。


🐴初めての外

うちの牧場の場合ですが、

お産が終わったあとの親子は、天候にもよりますが3〜4日ぐらい馬房で過ごします。

お産してすぐは母馬が仔馬を守ろうとして、人が近づくとイライラして攻撃的になるので極力そっとしておきます。

別の空き馬房に寝藁を敷き、そこに移動させてから馬房掃除をするなどして清潔に保っています。

3〜4日ほど経った頃、天気の良い穏やかな日に初めてパドックという15m四方ぐらいの小さな放牧地に出して様子を見ながら、徐々に広い所へ放すのです。

狭い馬房から解放された母馬は喜んで走り回り、仔馬は必死でついて行きます。(^^;

いきなり広い所に放すと、怪我につながりかねません。

母馬が開放的になって走り出し、それに付いていっているうちに脚が疲労して腫れてしまったりする可能性もあります。

人間の子供も同様で、産まれてすぐにいきなり外でお散歩したり、公園デビューしたりはしませんよね。

そうイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

今回はここまでにして、
次回、発情〜種付けについて書きたいと思います(^^)


ここまで読んでくださり、ありがとうございました🐴

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